<社説>米軍専用施設39% 誤解の拡散やめるべきだ


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 在日米軍司令部が会員制交流サイトのフェイスブックに投稿した「在日米軍 今週の事実」は欺瞞(ぎまん)に満ちている。事実を強引にねじ曲げることをいとわない。在日米軍にはそんな一面があることを自ら露呈したと言えよう。

 投稿文は「在日米軍基地に関してよくある誤解がある。それは、日本における全ての米軍施設の75%かそれ以上が沖縄に集中していると言われていることだ。これは事実ではない。実際には、米国の専用施設の39%」と主張している。
 「施設面積の割合」と「施設数の割合」の比較では、整合性は取れない。「事実ではない」とすること自体、事実に反する。
 防衛省をはじめ、県や報道機関が使う「74・46%」は施設面積の割合である。国土面積の0・6%しかない沖縄に米軍基地が過度に集中する実態を的確に表す指標である。在日米軍に不都合でも、事実は事実として認めるべきだ。
 在日米軍は「米軍施設には、空軍基地のような大きなものからレーダー基地や宿泊施設のようなとても小さな施設までさまざまな規模がある」とも書いている。
 その事実を考慮すれば、規模が違うさまざまな施設を単なる数の割合で比較することに、意味を見いだすことはできない。
 在日米軍は本紙の取材に「施設数と面積を取り違えて混乱が生じている。在日米軍専用施設数の75%(現在は74%)が沖縄に存在しているという言い方がよくされているが、事実として正確ではない」と回答している。
 「混乱」しているのは在日米軍の方だ。投稿文では「施設」としているが、回答では「施設数」に変わっている。
 投稿文からは、過重な沖縄の基地負担を矮小(わいしょう)化する意図が見える。その意図を隠し、あたかも日本国民が「誤解」していると決めつけることはいかがなものか。失礼にも程がある。
 そもそも、施設数の「39%」は決して小さくない。過小評価することは許されない。沖縄は施設数でも過重な負担を押し付けられていることを在日米軍が改めて示したと言える。
 在日米軍は「今後ともほかの議論でも背景を説明していきたい」としている。事実に即した説明が求められるが、今の在日米軍には期待できない。誤解の拡散はやめるべきだ。