<社説>台風1号接近 万全の備えで被害防ごう


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 台風1号が接近している。八重山地方は7日から8日に暴風域に巻き込まれる恐れがある。「猛烈」な勢いがさらに発達中で、沖縄気象台は八重山地方に甚大な被害をもたらした昨年9月の台風21号に匹敵する災害が予想されるとしている。厳重な警戒が必要だ。

 昨年の台風21号は県内史上2番目、国内でも4番目となる81・1メートルの最大瞬間風速を与那国島で記録し、同町に災害救助法が適用されるなど大きな被害を与えた。
 接近中の台風1号は、21号に近いルートで北上している。6日午後3時現在の予報では、21号を上回る900ヘクトパスカル、最大瞬間風速85メートルが予想されている。進路によっては昨年並み、あるいはそれ以上の猛威を振るう可能性がある。
 気象台によると八重山地方は7日昼すぎに暴風域に、宮古島地方は同日午前に強風域に入る恐れがある。8日に最接近する可能性がある。関係機関、住民は台風情報に細心の注意を払い、万全の備えで臨んでもらいたい。
 台風接近時には不要な外出を避け、高波の恐れのある海岸や増水が予想される河川には近づかないようにしよう。市街では看板の落下や飛来物による被害も予想される。家屋や店舗の傷んだ箇所をチェックし、応急措置や危険物を除去するなどの予防策を講じたい。
 地域には水害や土砂崩れなど過去に災害に見舞われた危険地区がある。危険な兆候に注意を払い、行政、警察、防災機関などから自治会、住民への連絡体制を確認し、万一の場合には速やかな避難誘導、救助の態勢を取ってもらいたい。
 昨年の21号では与那国島全域で停電し、電話線の断線で固定電話が不通となった。また15号でも先島で2万戸以上が停電し、県内各地で多数の電話やインターネットの不通が生じた。
 停電で暗闇に置かれ、通信が途絶えると避難警告の情報から取り残される事態ともなりかねない。
 関係機関は通信途絶時の連絡体制の確保まで万全の備えで臨んでもらいたい。
 昨年の台風はマンゴー、サトウキビなど農産物にも多大な被害を及ぼした。収穫期のマンゴーなどへの影響が気掛かりだ。
 人身への被害防止を第一に、農水産物への被害防止、航空、海上、陸上交通の安全確保、観光客への配慮などあらゆる面での台風対策に力を注ごう。