<社説>県議選きょう告示 投票で沖縄の未来築こう


<社説>県議選きょう告示 投票で沖縄の未来築こう
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 任期満了に伴う県議会議員選挙が7日、告示される。16日の投票日に向け9日間の選挙戦が始まる。有権者は、候補者それぞれの主張、政策に耳を傾け、確実に1票を投じてほしい。候補者には、有権者の投票行動の判断に資する活発な政策論議を求めたい。

 48の定数に対し、全13選挙区に75人が立候補の意思を示し、準備を進めてきた。現在2期目の玉城デニー県政の中間評価とも位置付けられ、知事を支える与党が多数を維持するか、野党や中立が過半数を獲得するかが最大の焦点だ。

 現在の県議会は議長を除き、与党が24議席、野党と中立で23議席となっている。新たな与野党構成は、県政運営の在り方を左右する。

 普天間飛行場の移設問題を巡っても投票結果が注目される。辺野古の新基地建設に関する国との訴訟で敗訴するなど、玉城県政にとっては厳しい状況が続く。

 県政を支える与党が引き続き多数となれば、新基地建設に反対する県民意思を改めて示すことになり、基地建設を推し進める政府に対抗する県政のよりどころとなろう。

 野党の自民党は、普天間の危険性除去の原点に立ち返り、訴訟結果も踏まえて移設工事の進展を求める。普天間の跡地利用といった課題も解決する必要があると訴える。

 沖縄の施政権返還(日本復帰)後、14回目の県議選だ。前回選挙から約2年後の2022年、返還50年の節目に共同通信が実施した県民世論調査で、返還後の県の歩みに「満足していない」との回答が55%に上った。このうち40%が「米軍基地の整理縮小が進んでいない」を理由に挙げた。米軍基地の整理縮小の進展は政治的立場を問わず、共通目標であるはずだ。どのように実現させることができるのか、論戦に注目したい。

 いまだ解決されない「子どもの貧困」問題にどう対応するかも大きな論点である。物価高騰の影響が困窮世帯を直撃している。子育て支援の充実を掲げてきた県施策の方向性、実効性が問われよう。

 22年の県民世論調査で、今後の沖縄の発展に向けて力を入れるべき分野として最も多くが望んだのは「教育」だった。島嶼(とうしょ)県の将来像として県民は人材育成に可能性を見いだしているのだ。県議会もこれを受け止め、政策として具現化してもらいたい。沖縄振興の今後の在り方についても、活発な論争を望む。

 有権者は報道や選挙公報も参考に政策を吟味し、投票してもらいたい。前回選は投票率が46.96%で、県議選として初めて50%を下回った。新型コロナの影響が大きかったとみられる。

 県議選の結果は、これからの沖縄の県土づくりに直結する。投票は豊かな沖縄の未来を築く行動である。政治参加を通じてより良い社会を実現するという民主主義の根幹を守るためにも確実に1票を投じたい。