<社説>待機児童沖縄2位 官民一体で受け皿つくろう


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 社会の宝である子どもたちをどう見守り、育てていくかは、親だけでなく全ての大人の責任だ。しかし沖縄では子育ての環境が整っているとは言い難い。

 厚生労働省の集計で、今年4月1日時点の県内の待機児童は2536人で、東京都の8466人に次いで全国で2番目に多かった。
 「特定の保育園のみ希望している者」など潜在的待機児童1807人を含めると、4343人の子どもが居場所を求めながら得られていない。
 待機児童の解消には受け皿づくりが急務であり、市町村、住民が一丸となって対策を講じるべきだ。
 4月1日時点での保育所利用者を比較すると、2014年が4万714人、15年が4万2109人で1395人増えている。それだけ受け皿づくりが進んだといえるが、申込者数は14年の4万5992人に対して15年は4万9744人となり、3752人も増え、需要に追い付いていない。
 認可保育園以外の受け皿としては幼保連携型認定こども園、地域型保育事業が大きく伸び、14年に比べると15年の利用者はこの二つで1823人も増えている。
 待機児童解消へ向け、認可園以外の施設整備にも取り組んだ行政側の努力は評価されていい。
 申込者数増加は、保育園の定員増加により入所を諦めていた親が希望したことや、働く女性が増えたことなど、さまざまな要因が考えられる。確実に言えるのは、必要とする人は多いのに、受け入れる施設が足りないということだ。
 保育施設の新規開設などがますます必要になるが、重要なのは地域の活性化を含め、住民にとって子どもを守り育てる施設が必要だという共通認識を得ることだ。
 県内でも複数の自治体で、認可保育園の新規開設に当たり、朝夕の送迎時の渋滞など住環境の悪化などを理由に着工見送りや候補地選定のやり直しがあった。
 その中には行政と運営主体、住民の話し合いで解決した例もある。子どもを通した大人のつながりは地域の活力ともなり、必要なものだ。だからこそ市町村は住民を交えた整備計画を積極的に進めてもらいたい。
 政府は17年度末までの待機児童ゼロを目標とする。実現可能性は疑問視されるが、停滞は許されない。誰もが安心して子育てできる環境を整えるには市町村、住民が一体となって取り組む必要がある。