<社説>特別支援技能検定 活躍できる場を増やそう


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 県教育委員会は特別支援学校高等部のキャリア教育と就労支援を充実させるため、本年度から初めて「県特別支援学校技能検定」を始める。

 生徒の働く意欲を後押しし、技能を社会や企業へアピールして雇用を促す。全国では19県で導入され、関連業種への就労につながっているという。生徒が活躍できる場を増やして自立につなげる取り組みに期待したい。
 県教育庁県立学校教育課のまとめ(2016年5月1日現在)によると、15年度の特別支援学校高等部卒業生が一般企業に就職する「一般就労」は、312人中81人(26・0%)で14年度に続き26%台を維持した。それでも全国平均より3・5ポイント低い。
 今回始める技能検定の種目は「メンテナンス部門」でテーブル拭きや自在ほうきとモップの扱い方、「接客部門」では喫茶店でのサービスなどだ。今後は事務補助の「オフィスアシスタント」や「ワープロ」「洗車」「ベッドメイキング」などの種目も検討していく。
 県教育委員会は、技能検定に加え、18年に県内で初開催される「全国障害者技能競技大会」(全国アビリンピック)のメダリスト養成を検討中だという。技能に磨きをかけることで、採用の可能性が広がる。ぜひメダリスト輩出を目指してほしい。
 4月に施行された障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法によって、障がいによる差別を禁じ、障がい者の求めに応じて能力を発揮できるよう、事業主は配慮をしなければならない。
 県内の障がい者雇用数は15年6月1日現在で3500人を超えた。実雇用率は全国6位の2・29%。雇用者、実雇用率ともに過去最高を記録した。雇用率達成割合は全ての事業規模で前年を上回った。雇用環境の改善と就業支援キャンペーン、就職支援コーディネーターの配置などが好結果につながっている。
 一方、法定雇用率に達していない企業は346社で雇用義務のある企業の約4割に上る。ハローワークには4500人余りが就職登録し就労の機会を待っている。
 障がいのある人もない人も互いにその人らしさを認め合いながら働ける場をつくる。多様性のある共生社会を築くために、自治体や企業に一層の努力を求めたい。