8日から10日にかけて、沖縄本島北部を中心に大雨が降り続き、国頭村、大宜味村、東村、名護市、恩納村で、床上浸水48件など甚大な被害が発生した。断水、停電、県道の通行止めも発生している。比地川が氾濫した国頭村比地区では22人が避難を続けている。大宜味村では全域で断水したままだ。
まずは市町村、県、国の連携で速やかな救援と被害状況の把握が必要だ。そして迅速な復旧とともに、避難指示などの対応、防災対策の検証が求められる。
9日の未明から明け方、本島北部から鹿児島県与論町にかけて線状降水帯が発生し、東村、与論町で観測史上最大の24時間雨量を記録した。大宜味村では平南川増水で「緊急安全確保」が出された。10日午前も、気圧の谷や高気圧のへりを回り込む湿った空気により名護市、国頭村、東村で激しい雨が降った。
沖縄気象台のホームページによると今回、7日午後4時12分に「大雨と雷及び突風に関する気象情報第1号」を出し、8日午後8時25分に大雨警報を出した。9日午前0時7分、線状降水帯が発生しているという情報を出し、同12分から各地の記録的短時間大雨情報を出し続けた。夜が明けると大雨は収まったが、10日午前5時29分に再び記録的短時間大雨情報を出し、午前8時47分の第6号まで続いた。11日午前9時47分にようやく注意報に切り替えた。
短時間大雨情報とは、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測したり解析したりした時に発表される。雨量基準は1時間80~120ミリの範囲でその地域の歴代1、2位の記録を参考に決めている。発表時には、その地域で土砂災害や浸水害、中小河川の洪水災害の発生につながるような猛烈な雨が降っていることを意味する。
国頭村比地区では9日午前0時過ぎに村から避難を呼びかける放送があり、住民らは自主的に協力して避難した。放送から30~40分で冠水は約1メートルに達したという。離島県の沖縄では河川はすぐ海に達するが、1時間120ミリもの豪雨で一気に氾濫したのであろう。避難呼びかけのタイミングが妥当だったのかも、検証が必要だろう。ハザードマップに線状降水帯の可能性も明記してほしい。
大宜味村では津波浄水場のろ過池の浸水で水道水が供給できず、給水車に頼っている状態だ。復旧のめどは立っていない。復旧を急ぐとともに、今後同じことが起きないよう万全の対策を検討すべきである。
線状降水帯はどこでも発生するということを認識しなければならない。台風も地球温暖化で世界的に強大化しており、豪雨被害も増えている。温室効果ガスの排出削減を目指す国際会議COP29が始まった。温暖化防止も防災対策の一環であるとの認識を新たにしたい。