<社説>若者県人大会 新世代ネットワークに期待


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 きょう第5回世界若者ウチナーンチュ大会が開幕する。

 県系の若者らによるこの大会は、2011年に開催された第5回世界のウチナーンチュ大会の中で開かれた、若者国際会議を契機に実現した。ブラジルを皮切りに米国、ドイツ、フィリピンで開催した。沖縄開催は初めてだ。
 今回は県内各地の青年会が協力し、若者同士の交流を通して海外県系人と市町村の青年をつなぐ。
 世界の若きウチナーンチュたちが母県との絆を深め、国境を越えた新たな取り組みが生まれ、世界中に強力なネットワークが広がることを期待したい。
 大会には約2千人が参加予定で、海外からは9カ国1地域約100人が参加する。大会テーマは「我が要(カナミ)ウチナー 勇み風共(カジトゥム)に 走(ハ)らせシンカヌ達(チャー)」。人と地域に感動と元気を届け、18~35歳の若者が熱くなれる4日間にしてほしい。
 期間中、海外のウチナーンチュ、各地の青年会、学生・一般社会人-の3者の視点で、アイデンティティーの問題や芸能・文化の継承、青年会活動の担い手不足などの課題を論議する。世界の県系の若者らが幅広く意見交換を重ね、絆を深めることは非常に意義深い。
 大会実行委員長の玉元三奈美さんによると、過去の大会を通して、海外の若者は、県内の各地域で活動する青年や伝統芸能に触れる場を強く求めているという。
 実際に、第1回世界若者ウチナーンチュ大会に参加したボリビアの県系人が、大会参加をきっかけに「多くのウチナーンチュに僕ら県系人のことを知ってもらいたい」と、初めて沖縄を訪れた。現在、青年会でエイサーを踊り、沖縄の魅力を吸収している。カナダ在住の4世で、大会を機に初めて沖縄を訪れ、知らなかった家族の100年の歴史を取り戻そうとする青年もいる。
 ブラジルの県系女性は、名護市辺野古や高江の現状を知るために現地を訪問し、インタビューなど資料を集めてブラジルで紹介するつもりだ。
 一方、現在の沖縄から、高い技術や知識を持った若者が志を抱いて海外へ飛び立ち、各国で貢献している。
 離れた国で暮らしていても、距離を乗り越え、心を一つにできる。それがウチナーンチュだ。新世代の世界のウチナーンチュたちの活躍に大いに期待する。