<社説>WUB世界大会 「平和経済宣言」の進展を


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 ウチナーンチュ経済人のネットワークを通して利益を追求する。併せて人的・文化的交流も深化させる。それに取り組むことでそれぞれの国、沖縄、そして世界に貢献していく。WUB(世界ウチナーンチュ・ビジネス・ネットワーク)の第20回世界大会は、そんな「万国津梁」の気概にあふれた。

 東良和WUB会長が紹介した「沖縄平和経済宣言」に注目したい。
 宣言は第18回世界大会(2014年・ペルー)で発表された。WUBの使命として「すぐれたソフトパワーである世界のウチナーンチュネットワークを活用し、国際的な経済・文化・人的交流を更に発展させ、世界各国、各地域の平和経済の実現に向けて努力する」ことなどをうたっている。
 その前文は「国や地域における力のみによる解決手法は、これまで結ばれていた絆を分断し、格差や争いを生み出す要因ともなりえる」「世界的な経済交流やネットワークを結ぶには、平和な国際環境が不可欠」と明記する。
 その視点は沖縄戦の教訓である。組織名に「ウチナーンチュ」を入れたことを踏まえたものであり、宣言の理念を多くのウチナーンチュで共有したい。
 平和的外交を柱に据え、中国やアジアとの懸け橋となった琉球王国時代の「万国津梁」の精神がWUBには生きている。県民が日頃、意識していない「万国津梁」精神が持つ普遍的な価値を、WUBが改めて気付かせた意義は大きい。
 沖縄と世界のウチナーンチュが協力して「沖縄平和経済宣言」で打ち出した平和希求の精神を、第20回世界大会を機に、さらに進展させたい。
 WUBは県が認定する「新ウチナー民間大使」の推薦枠割り当てを求めている。WUB会員は海外で活躍し、沖縄との交流の懸け橋となる人材の宝庫である。県は前向きに検討してほしい。
 次期会長に選ばれたスティーブ・喜舎場・ソンブレロWUBハワイ顧問は「沖縄のアイデンティティー継承」を課題に挙げている。解決策として若者の相互訪問を提案し「海外移民となった県人が海外でどう働き、厳しい環境の中から成功を収めたかも伝えたい」と述べている。
 沖縄と世界の若者が刺激し合う機会がこれまで以上に増えれば、互いの絆はさらに強固なものになるはずだ。