<社説>仲里選手県民栄誉賞 さらなる飛躍期待したい


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 車いすラグビーの仲里進選手に県民栄誉賞が贈られた。仲里選手だけでなく、支えた家族と関係者の喜びもひとしおだろう。県民と共に心から祝福したい。

 県民栄誉賞の目的は「広く県民に敬愛され、県民に明るい希望と活力を与える顕著な功績があった者に対して、その栄誉をたたえること」である。
 リオ・パラリンピック大会終了後のコメントが仲里選手の「敬愛」される人柄を表している。
 「障がいを持って生まれてきて良かったと言いたい。いろいろとつらいこともあったが、競技をすることで環境が変化し、多くの出会いがあった。この舞台に立つこともできた。障がいのある両親に、改めて感謝したい」
 障がいをプラスに考え、両親にも感謝する。一流のスポーツマンは卓越した人間性を併せ持つことを、仲里選手の言葉が証明する。
 仲里選手の競技生活の軌跡は、まさに「県民に明るい希望と活力を与える」ものと言えよう。
 2003年に日本代表入りした仲里選手は13、14年に主将を務めた。パラリンピックには4大会連続出場を果たしている。
 日本代表は04年アテネ大会で8位と振るわなかったが、08年北京大会7位、12年ロンドン大会ではメダルまであと一歩の4位と着実に力を付けた。リオ大会では銅メダルを獲得し、仲里選手も日本の初メダルに大きく貢献した。外国選手の突破を体を張って阻む闘志あふれるプレーが光った。
 世界の強豪国がしのぎを削るパラリンピックで、悔しさを原動力にして着実にレベルアップした仲里選手に学びたい。
 沖縄から世界の舞台で活躍する仲里選手のプレーは障がい者だけでなく、健常者にも大きな希望を与えたことは特筆に値する。挑戦し続ける姿勢は青少年にとって大きな励みになる。
 浦添市の市民栄誉賞に続き、県民栄誉賞の受賞である。だが、仲里選手の世界との戦いは今後も続く。
 仲里選手は受賞あいさつで「2020年(の東京パラリンピック)に向けて、さらに精進したい」と活躍を誓った。39歳のベテランは東京大会での金メダルを目指している。
 県民栄誉賞受賞を機に、仲里選手のさらなる飛躍を期待し、県民挙げて支援の輪を広げたい。