<社説>カジノ解禁法案 国民不在の成立認めない

 唐突かつどさくさ紛れに、国民生活に悪影響を与えかねない重要法案を数の力で成立させるのか。

 刑法が禁じる賭博にほかならないカジノを地域振興などに活用することを狙う、統合型リゾート施設(IR)整備促進法案(カジノ解禁法案)がわずか2日間の審議で衆院内閣委員会を通過した。
 自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。参考人質疑や公聴会は一切ない。国民不在そのものである。
 年金制度改革法案や環太平洋連携協定(TPP)関連法案の成立をにらみ国会会期を延長したはずなのに、安倍政権と自民党が先に強行突破を図ったのはカジノ法案だった。詐欺的行為にさえ映る。
 数の力に頼った強引な国会運営は1強のおごりである。自民党は国会を「言論の府」と標榜することをやめた方がいい。慎重姿勢を貫いていた公明党は自主投票にした。腰砕けではないか。法案成立は断じて認められない。
 自民や旧維新の党などの議員が昨年4月に提出したカジノ法案はカジノやホテル、大型会議場などが一体となったIRの整備を政府に求め、施行1年以内に実施法案を国会提出することを義務付ける。
 ところが、ギャンブル依存症の増加や、マネーロンダリング(資金洗浄)の恐れ、暴力団の関与、地域の治安の悪化、青少年への悪影響など、カジノの負の課題の解消は政府に丸投げされている。
 カジノは賭けた客の負け分が収益となる。国民や外国人観光客らの負けが企業の利益と地域振興の原資になる構図だ。カジノは競馬などの公営ギャンブルより賭け金がかさむとの指摘がある。国家や地方の成長戦略にはふさわしくない。
 海外でも、一時的に盛況だったカジノの客足が遠のいて撤退するなど、地域振興策としては失敗した例が少なくない。
 厚生労働省の推計では、ギャンブル依存症が疑われる人は536万人に上る。成人の4・8%で、ほぼ2%未満の他国に比べて突出している。
 本紙が加盟する日本世論調査会が2015年に実施した世論調査でも、カジノ設置に反対が65%に上り、賛成の30%の倍以上だった。
 翁長雄志知事はカジノ導入を「考えていない」と明言している。沖縄はカジノ法案に目もくれず、潜在的な魅力を磨き上げる観光振興に力を注ぎたい。



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