<社説>米石油管工事中止 沖縄の権利も認めるべきだ

 米ノースダコタ州で民間企業が進める石油輸送管建設計画を巡り、米陸軍省が同省管轄区域での工事を不許可にした。

 石油漏出による水源の汚染や環境破壊を懸念する米先住民族スタンディングロック・スー族の権利を認める決定を高く評価したい。一方で、米本国で保障される住民の権利は、米軍基地のある沖縄でも認められてしかるべきだ。
 石油輸送管はミズリー川と人工湖オアヒ湖の下を通る予定だった。建設予定地近くに居留地を持つスー族が「水資源を脅かされる」「先祖ゆかりの聖地や遺跡が破壊されている」などと反対していた。
 スー族は米連邦裁判所に建設計画中止を求めたが、却下された。しかし反対運動は広がり、全米から集まった賛同者や退役軍人らが野営し、抗議活動を展開した。
 オバマ政権は判決後、検討の必要があるとして政府所有地の工事を停止し、最終的に陸軍省が不許可を決定した。民主主義にのっとれば、当然の結果である。
 目を転じて沖縄ではどうか。住民の権利を侵害する工事が強行されている。だが、米政府は県民の中止要求を無視し続けている。
 日米両政府がヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を建設する米軍北部訓練場は県企業局全取水量の約55%を占めるダムの重要水源だ。
 北部訓練場を含むやんばるの森は国内最大級の亜熱帯照葉樹林で、ヤンバルクイナやノグチゲラなどの固有種が生息する。生物多様性の保全上、極めて重要な森だ。地元の国頭、東、大宜味の3村は世界自然遺産登録を望む。住民はヘリパッド建設差し止めを求め仮処分申請したが、裁判所は却下した。
 県民の多数が反対する辺野古新基地建設計画を日米両政府は進めている。埋め立てが予定される名護市の大浦湾は、絶滅危惧種262種を含む5334種の動植物が確認された、生物多様性に富んだ海だ。豊穣の海は生活の糧をもたらす感謝と畏敬の対象である。
 新基地建設予定地と重なる辺野古崎突端付近では、近世琉球期(1609~1879年)や近代の土器などが発見され、県教育委員会は文化財保護法に基づき「長崎兼久遺物散布地」として遺跡に認定した。
 米国が真に民主主義国家なら沖縄の声に耳を傾けるべきだ。米軍基地によって沖縄の水源や自然、文化を壊す愚を犯すべきでない。



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