<社説>国保交付金格差 沖縄戦のつけを解消せよ

 県民は沖縄戦で多大な犠牲を負った上、今も交付金の格差の不利益を被り続けている。政府は、早急に抜本策を講ずべきだ。

 沖縄戦時に出生数が激減した沖縄は前期高齢者(65歳~74歳)の割合が全国最下位と極端に低い。そのため前期高齢者の割合に応じた交付金が全国より少なく、市町村の国民健康保険財政の赤字が拡大し続けている。
 前期高齢者交付金制度が始まった2008年度から15年度に、県内の市町村が国保財政の赤字を埋めるため一般会計から支出した総額は637億円余にも上る。
 同制度は高齢化に伴い赤字が拡大する国保財政の支援が目的だ。
 制度導入後、前期高齢者の人口比率が高い全国市町村の国保財政は改善し、制度の恩恵を受けた。しかし沖縄戦の影響で同年代の割合が低い沖縄は交付金が少なく、国保財政は悪化をたどり、単年度赤字が100億円近くに上る。
 そのほかの制度支援を含め全国の市町村が18年度までにほぼ赤字を解消するのに対し、沖縄は18~24年度の赤字総額が数百億円にも上る見通しというのだ。
 国保加入者1人当たりの交付額を見ても、14年度の全国9万9千円余に対し沖縄は1万6千円余と極端に少ない。
 国保財政の赤字を補うため県内市町村は一般会計予算から多額の支出を余儀なくされ、行政サービスの低下が危ぶまれる事態に陥っているのである。
 沖縄戦で国策の犠牲になった上、そのしわ寄せを県民が負わされ続けるのは不条理極まりない。
 前期高齢者交付金の制度設計に問題があったのは明らかだ。政府は沖縄戦による出生減の特殊事情を掌握し、県民に不利益を及ぼさない制度とすべきだった。
 制度導入後に厚生労働省は、以前の制度より「交付金が少なくなったのは事実」と不備を認め、厚労相は「沖縄の特殊事情を勘案し制度に反映させたい」と約束した。
 その後も県、市町村が制度の改善を訴え続けているが何ら改まっていない。政府のこの間の無作為を厳しく批判せざるを得ない。
 政府は18年度から国保の運営を市町村から都道府県に移管させる。そのための論議が今後、本格化する。この機会に、県や市町村、議会、国会議員など県民が一体となって前期高齢者交付金の格差解消を政府に突き付けたい。



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