<社説>沖縄キャンプ活況 受け入れ態勢整備をさらに


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 プロスポーツの沖縄キャンプが活況を呈している。12球団中9球団が集い、代名詞になっている野球だけではない。今年3月までに県内で強化に励むプロサッカークラブは海外勢8チームを含めて22チームとなり、過去最多となる。

 官民一体の誘致活動と球場設備やグラウンドの芝生整備など、地域を挙げた受け入れ態勢の充実が奏功していることを誇りたい。
 球団と報道陣などの滞在に加え、県内外からファンが詰め掛ける相乗効果は年々高まっている。
 2015年度のプロ球団の春季キャンプの経済効果は100億円(りゅうぎん総研調べ)を超えた。16年のサッカーキャンプの経済効果は37億円超だった。地域経済に大きな波及効果を生むだけに、さらに競技の枠を超えて合宿を招致する取り組みを加速させたい。
 プロ野球の6球団が1日から春季キャンプを始め、12日に昨年日本一に輝いた日本ハムが名護、13日は巨人が那覇入りした。25年ぶりにセ・リーグを制した広島は20日に沖縄市に入る。
 25日の広島の優勝パレードに合わせた「イベント民泊」も県内で初めて実施され、県内外のファンの交流会も催される予定だ。
 3月に開幕する野球の世界大会ワールド・ベースボール・クラシックの日本代表28人のうち、沖縄で練習を積む選手は20人に上る。
 サッカーを含め、パワーとスピードにあふれた最高峰のプレーを間近で見ることで、青少年に夢を与える教育効果も大きい。家族連れで足を運んで選手に声援を送り、一体感を強めてほしいものだ。
 サッカーキャンプの増加は、芝生を良好に保つ「芝人(しばんちゅ)養成事業」の効果が大きい。11年度に荒れた芝生への苦情があり、12年のキャンプ数は前年の12から9に減った。県は12年度後半から芝生の改善を担う人材育成に取り組んだ。
 プロサッカー球団が望む弾力性がある冬芝は毎年種まきし、成長を促す適度な刈り込みが必要だ。空気を入れて土を柔らかくするなど「芝人」の管理技術が上がり、芝の状態が良くなった13年度から沖縄で合宿を張るクラブ数はV字回復を遂げた。
 陸上競技、重量挙げなど他の競技のトップ選手の沖縄合宿も伸びている。県と市町村、地域の受け入れ組織がたゆまぬ努力を続け、「キャンプ王国沖縄」の名声を一層高めていきたい。