<社説>働く女性意識調査 雇用形態の格差なくそう


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 働く女性にとって、県内の職場環境はまだ厳しいと言わざるを得ない。沖縄総合事務局が実施した「働く女性に関する意識調査」の結果を見ると、制度面での不備など課題が多いことがうかがえる。

 調査には20~40代の女性428人が回答した。そのうち仕事を結婚後も続けたい人が78・6%、出産後も続けたい人が69%いる。
 子どもができた場合、現在の職場で継続して仕事ができる環境にあると答えたのは69・3%だった。
 国の出生動向基本調査(2015年)によると、第1子出産後に仕事を続けている女性は53・1%で、1940年に調査を始めて以来、初めて50%を超えた。
 両方の調査を単純に比較することはできないが、一見すると県内では育児に理解のある職場が多いという印象を受ける。
 だが実態はどうだろうか。継続して仕事ができると答えた県内女性を雇用形態別に見ると、正社員が73・4%と高率なのに派遣・嘱託社員は69・2%、パート・アルバイトは53・5%であり、身分が不安定なほど継続は難しいと考えていることが分かる。
 これは育児休業の取得率を見ても分かる。仕事をしていて子どもがいる、または仕事に就いていたとき出産したという141人のうち、育児休業を取得したのは48・9%だった。これも雇用形態別では正社員の67・7%が取得できたのに対し、派遣・嘱託社員、パート・アルバイトは取得できない人が60%台と逆転した。
 育児休業は働く人に認められた権利であり、雇用形態によって差があることは見過ごせない。
 育児休業を取得しなかった理由は「雇用形態が条件に合わなかった」「職場に取得する雰囲気がなかった」を合わせると60%を超える。非正規社員や中小・零細企業が多いなど県内の労働環境に課題があるのではないだろうか。
 同時に育児は女性が中心に担うという発想からも転換しなければならない。男性が育児に積極的に参加することで、より女性が働きやすい環境ができるであろう。育児休業を取りやすい環境改善に加え、男性の意識改革も必要だ。
 誰もが働きやすい職場とは、皆が平等に権利を享受できる職場だ。雇用形態による格差を放置せず、企業も行政も共に改善を図る手だてを考えたい。