<社説>「辺野古」反対集会 屈しない決意の表明だ 知事の撤回明言を評価する

 時折小雨が降る中、主催者発表で3500人を超す人々が集まった。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に反対し、工事の即時中止と建設の断念を求める米軍キャンプ・シュワブゲート前の集会は熱気に包まれた。
 知事就任後、初めて辺野古の集会に参加した翁長雄志知事はあいさつで、埋め立て承認について「撤回を力強く、必ずやる」と述べ、撤回することを初めて明言した。工事を止めるための行政決断に踏み切ることの表明である。高く評価したい。

民意に背く基地建設

 沖縄からどんなに反対の意思を示しても、国は一顧だにすることなく、新基地建設の方針を変えない。その強硬な姿勢は強大な権力の横暴さを如実に示すものだ。恐怖すら感じる。
 集会で翁長知事は現在の国の姿勢について「占領下の銃剣とブルドーザーとまったく同じ手法で、あの美しい大浦湾を埋め立てようとしている」と批判した。米統治下の沖縄では米軍が住民を銃剣で脅し、ブルドーザーで家屋を押しつぶして基地建設を強行した。
 知事が当時の米軍と現在の政府の姿を重ねたのは極めて妥当だ。集会に多くの人々が集まったのも、国の姿勢に対する強い危機感の表れだ。繰り返し集会を重ねなければ、反対の声はなかったことにされてしまう。こうした切迫した思いで各地から人々が集まったはずだ。
 この1年、国は沖縄の民意にまったく耳を傾けることなく、やみくもに基地建設へと突き進んできた。昨年3月4日、辺野古代執行訴訟の和解が成立し、県と国が「円満解決に向けた協議を行う」ことになり、工事はいったん中断した。しかし国はその3日後、知事の埋め立て承認取り消しを取り消すよう求める是正指示の文書を県宛てに発送した。
 協議を始めることなく、工事再開に向けた手続きを優先させたのだ。明らかに和解に背く行為だった。
 その後、国は県が是正指示に応じないとして不作為の違法確認訴訟を提起した。そして最高裁が12月20日に県敗訴の判決を下した。
 敗訴確定を受けて県は同26日、埋め立て承認取り消しを取り消した。判決に従うため、苦渋の選択をせざるを得なかった。
 すると国は翌27日に工事再開に踏み切った。これまでにコンクリートブロック247個を海底に投下した。汚濁防止膜の設置も進め、4月にも護岸工事に着手することにしている。

踏みにじられる人権

 新基地建設だけではない。この1年だけでもさまざまな米軍基地に起因する事件事故が起きている。昨年4月、元海兵隊員で米軍属の男が女性を乱暴目的で暴行を加えて殺害する事件が起きた。
 12月には米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部集落の海岸に墜落した。今年3月には米軍ヘリがつり下げていたタイヤが落下する事故が起きている。これで県民がどうやって安心して暮らせるというのか。
 集会決議文にはこうある。
 「私たち県民は強く訴える。国民の当然の権利である生存する権利を、自由および幸福追求の権利を、そして法の下の平等を」
 米軍基地の存在が国民としての当然の権利を踏むにじってきた。そしてさらに新たな基地が造られようとしている。
 大多数の県民が辺野古移設を受け入れられないと思うのは当然ではないか。
 約5カ月の長期勾留を経て保釈された沖縄平和運動センターの山城博治議長がこう述べた。
 「どんなに権力が襲ってきても、われわれは屈しない。県民は屈しない」
 参加者は盛大な拍手で呼応した。今後も県民挙げての「屈しない」取り組みは続く。正義は県民の側にある。


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