<社説>沖縄大使発言 もうお引き取り願いたい

 職責への自覚がうかがえない。県民代表に対する狭量と独善ぶりが宿る理解不能な言動である。

 米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止を求めた県議会代表に対し、外務省沖縄事務所の川田司沖縄担当大使が、国からの財政移転を持ち出して、基地負担の見返りとして県民に十分配慮しているかのような発言をした。
 その上で「5年以内運用停止」の約束を破り続けているのは安倍政権の側であるにもかかわらず、普天間飛行場の辺野古移設を「県民のため」と正当化する認識を示した。
 沖縄の基地負担に関連し、川田大使は「沖縄経済の4兆円のうち、2兆円は本土からの移転経費だ」とあえて述べている。
 全会一致の意見書を携えた県民の代表に約束を果たせと迫られた側が、臆することなく基地負担と予算をリンクさせる厚顔ぶりに驚く。沖縄は金で優遇されていると印象付けようとする狡猾(こうかつ)さが際立つ。
 2兆円という額については、沖縄振興と財政の専門家から5千億円も多く、誤っていると指摘されている。沖縄の国庫依存度も全国中位で高くない。根拠に乏しい額を持ち出して、県民に恩着せがましく言い募る。この大使は基地の島に着任してから、何を見て、誰の話を聞いてきたのだろうか。
 運用停止への見解を問われると、川田氏は「私の役目ではない。役目は皆さんの要望を外務大臣に伝えることだ」と述べた。この発言を批判されると、「なんであなたが決めるのか」「そういう議論をしても仕方ない」と開き直った。
 川田氏の認識は、一向に改善されない基地負担にあえぐ沖縄の厳しい世論を真摯(しんし)に受け止め、自身の言葉で見解を示す最低限の役割も放棄したに等しい。沖縄大使は、要請文を霞が関に伝送するだけのファクス機材と同じではなかろう。
 もはや県内に「沖縄全権特命大使」とその事務所を置く意義は見いだせない。そろそろお引き取り願った方がいい。川田氏の属人的な問題と済ますわけにもいかない。徹底的に沖縄の民意を軽んじる安倍政権の姿勢を反映した発言であるからだ。
 米軍の事件・事故、米軍機の爆音など、人権を脅かす基地被害は一向に軽減しない。2009年から定例会見をやめ、奥座敷にこもったかのような沖縄大使が上げた成果は思い浮かばない。事務所維持は税金の無駄遣いではないか。

英文へ→Editorial: Statement by ambassador for Okinawa sparks desire for cancellation of his post



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