<社説>自民県連辺野古容認 沖縄保守の矜持を示せ


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 自民党県連は第48回県連大会を開き、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を「容認」する方針を決めた。「辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求する」という方針を転換した。

 しかし「辺野古が唯一」との方針を変えない安倍政権に対して「あらゆる可能性」を模索するよう、政府と党本部を説得するのが沖縄保守の矜持(きょうじ)ではないか。かつて県外移設を公約に掲げた県連は説明責任を果たすべきだ。
 大会では「最高裁判決に従い辺野古の代替施設への移設を容認する以外に具体的かつ現実的な方策は見いだせない」とした。
 辺野古容認が「現実的」となぜ断言できるのか。先月、辺野古に代わる案を民間のシンクタンクが提言書にまとめた。普天間飛行場に代わる「場所」を探すのではなく、米軍自体の運用を変えることで解決策を得るという発想の転換だ。県連は提言を検討しただろうか。
 さらに県連は「(普天間飛行場の)5年以内の運用停止の実現の見通しはなく、全ては翁長知事の協力のなさからくるものである」と知事を批判した。これは首相発言の追従そのものだ。
 安倍晋三首相は今年2月、自身が約束した5年以内運用停止について「翁長雄志知事に協力していただけていない。難しい状況だ」と述べ、実現困難とした。
 自ら仲井真弘多知事(当時)と交わし「全力で取り組む」と閣議決定した約束を、何の努力もなく放棄し責任を知事に転嫁した。当初から、辺野古埋め立ての知事決裁を得るための空手形だったのだ。
 照屋守之県連会長はあいさつで、国を「親」、県を「子ども」に例えて「子どもが一方的に親、国を批判して対決している」と翁長県政を批判した。しかし、地方分権改革では、国と地方を対等な関係と位置付けており、上下の親子関係と捉えるのは不適切だ。
 沖縄の保守について翁長知事は「安全保障の必要性を理解した上で、認められない不条理を問いただしていくこと」と県議会で答弁している。1960年代、キャラウェイ高等弁務官の強権統治に逆らえず現実路線をとる自民党主流派に対し、西銘順治那覇市長ら刷新派が自治権拡大を求めて脱党したことがある。
 「現実的」という表現で安倍政権に追従・一体化する県連は、沖縄保守の伝統から逸脱している。

英文へ→Editorial: Liberal Democratic Party of Okinawa should show the pride of Okinawan conservatives