<社説>非行少年の飲酒 大人の責任自覚し猛省を


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 ショッキングな数字である。那覇少年鑑別所が、入所した非行少年に対して実施した飲酒に関するアンケートの結果だ。初めて飲酒を経験した平均年齢は13・4歳で、最も早くは6歳。習慣化したのは平均14・8歳で、10歳からと答えた少年もいた。

 調査結果は、飲酒に寛容と言われる沖縄社会に猛省を迫っている。特に、親を含む周囲の大人の責任、そして社会の責任は重大だ。
 同鑑別所の調査は2回目で、2015年は169人、16年は166人から回答を得た。結果はほぼ同様で、約95%が飲酒を経験しており、非行と飲酒の密接な関係が裏付けられた。15年の結果について同鑑別所は「飲酒が不良行為の入り口となっている」「(他府県と比べて)沖縄は飲酒での非行が突出している印象だ」と指摘していた。
 16年の調査では親との飲酒経験がある者は約14%(22人)いる。親の認識についての問いに「飲んでいることを知らない」が23%(37人)だが、「(飲酒を)許している」と答えた者は7・5%(12人)いた。
 飲酒している場所は、屋外(公園・海など)が最も多く、同じくらいの率で居酒屋が続く。クラブ・キャバクラ等という答えもあり、本来未成年者が入れない所で飲酒している例も少なくない。また、自分で飲む際の入手方法は「自分で買う」が最も多かった。これらは大人の目が届かないのではなく、周囲の大人が黙認していることを意味する。
 飲酒下での非行経験がある者は37%(59人)いた。最も多いのは無免許運転、暴走行為など交通非行である。2月に恩納村で発生した中学生が亡くなったバイク事故で、小学6年生が飲酒運転をしていたことが衝撃を与えた。調査結果は、このような事故が再発する可能性をうかがわせる。
 この事故などを受けて3月、県教育委員会や県警、PTAや校長会など県内の教育関係19団体が「青少年健全育成に係る緊急アピール」を発表した。学校、家庭、地域が連携して子どもたちを守ろうという決意を示し「地域の大人が子どもたちに積極的に声を掛け、気になる場合は一報する」などと掲げた。
 大人の責任を自覚して、地域ぐるみで子どもを守らなければならない。