<社説>4・28「屈辱の日」 ひるまず自己決定権行使を


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 1952年4月28日に発効したサンフランシスコ講和条約によって日本は独立し、沖縄は奄美、小笠原と共に日本から切り離された。

 講和条約第3条によって、米国は日本の同意の下で、他国に介入されることなく軍事基地を自由に使用することができた。米軍は沖縄住民の基本的人権を無視し「銃剣とブルドーザー」によって農地を奪い、東アジア最大の軍事基地を建設した。まさに沖縄にとって「屈辱の日」である。
 沖縄は4・28を「屈辱の日」と記憶し、自己決定権の回復を求めてきた。現在、安倍政権は選挙で示された民意に反して名護市辺野古の新基地建設を強行している。今ほど露骨に沖縄の自己決定権がないがしろにされている時期はないだろう。過去に学び、未来のために、露骨な強権にひるまず毅然としてはね返そう。
 講和条約発効から65年たっても、事件・事故、騒音被害、環境汚染、人権侵害などの基地問題が解決しないのはなぜか。
 基地問題を引き起こしているのは米軍の沖縄駐留であり、不平等と指摘される日米地位協定である。日本政府は日米地位協定の抜本改定を米国に求めないため、基地問題は解決されずに、県民に被害を与え続けている。
 一方、沖縄を除く日本の米軍基地は1970年代後半までに大幅に削減され、反米ナショナリズムの象徴となっていた基地問題がほとんど解消した。そして相対的に沖縄への基地の集中度が高まったのである。
 琉球新報が5年に1度実施する県民意識調査結果(今年1月1日発表)をみると、「日本における沖縄の立場」を問う質問に対し、独立を含め、内政、外交面で沖縄の権限を現状より強化すべきだと考える人が約35%に上った。一方「現行通り、1地域(県)のまま」とする回答は前回から17・7ポイント減って過半数を割る46・1%となった。
 安倍政権が、沖縄を他府県と同じように公平に扱わないので、県民は自治権の強化を求めているのではないだろうか。
 沖縄を犠牲にし屈辱を与えることで成立する日米同盟は永続しない。安倍晋三首相には米国一辺倒を改め、沖縄を他地域と同様に公平に扱い、沖縄の自己決定権を認めるよう求める。それでこそ真の独立国と言えるだろう。

英文へ→Editorial: We’ll exercise our right to self-determination