<社説>子ども貧困調査 実態踏まえ連鎖を断とう

 かつての貧困と比べて「見えにくい」と言われる現在の子どもの貧困の理由が分かる調査結果だ。さらに、親の経済状況が子どもの進学意欲にも影響していることも明らかになった。全国に先駆けた先進的な調査だ。よりくっきりと現状と課題が浮かび上がった結果を踏まえ、子どもの貧困対策を官民挙げて急ぎたい。

 県は2016年度沖縄子どもの貧困実態調査事業の報告書をまとめた。「困窮世帯」の父親のうち小1の46・2%、小5の48・4%、中2の47・4%が「正社員」と答えた。正規雇用でも十分な収入を得られない厳しい雇用環境が浮き彫りになった。
 年収が300万円未満の世帯は小1の子を持つ親が37%、高2では32・2%だった。小1、高2ともに世帯年収が最も多い層は200万円~300万円未満で、子どもの年齢が上がっても所得が伸びない現状が表れた。
 今調査では、13年国民基礎調査から世帯全体の手取り収入を世帯人数で調整した等価可処分所得を基に「貧困ライン」を設定した。小中学生の家庭は所得122万円未満、高校生は127万円未満が貧困ラインを下回る「困窮世帯」とした。
 県内では父親が正社員であっても5割弱が困窮世帯であり、年齢を重ねても収入が伸びず、子どもが成長するほど支出が増え、家計の厳しさは増すことが示された。
 しかし、正規雇用として働いている保護者がいれば、外からはなかなか困窮だとは見えにくい。これが子どもの貧困への支援が届かない要因になっているのではないか。
 家計の厳しさは子どもたちの進学意欲に影響する。大学進学を希望する小5児童は困窮世帯で50・3%、非困窮世帯で65・2%と14・9ポイント差、中2では困窮世帯の33・1%と非困窮世帯46%の差は12・9ポイントだった。
 県内の大学・短大進学率(16年度)は39・2%で、全国平均の54・7%と15・5ポイントの差がある。家庭の収入が進学率の低さにつながるとすれば大きな問題だ。
 今調査でも学歴と家庭の経済状況に相関関係があることが示されている。小1父母の最終学歴が中卒の場合は困窮家庭が6割を超えるが、学歴が高まるほど困窮の割合が減る。大卒以上の学歴を持つ父の92・3%、母の88・4%は非困窮だった。
 高等教育機関への進学は貧困から抜け出す一歩となることが推測される。逆に言えば、進学を諦めることは貧困の連鎖につながる恐れがある。
 今調査では初の提言として給付型奨学金の拡充や通学費の支援、ひとり親支援の強化など9項目が盛り込まれた。まずは子どもへの支援で進学のハードルを下げるとともに、雇用環境の改善に向けた取り組みを図ることだ。沖縄社会の負の連鎖を断ち切らねばならない。