<社説>加計文書「共有」 関係者を証人喚問せよ

 これ以上、国民の知る権利の侵害は許されない。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関し、「総理の意向」などと記載された文書の存在を、文部科学省の複数の現役職員が内部で共有していたことを認めた。
 安倍首相は国会答弁で「印象操作」だと繰り返した。菅義偉官房長官は「怪文書」と言い切り、松野博一文科相も「行政文書としては存在しない」と結論付け、再調査を拒否してきた。
 現役職員の証言は首相らの発言を覆し、文科省内に官邸の意向が伝わっていたことを裏付けた。学園が特別扱いされたのではないかという疑惑は、払拭(ふっしょく)されるどころか深まった。疑惑の真相解明のために関係者の証人喚問と第三者による調査が必要だ。
 この文書は加計学園を巡り、文科省と国家戦略特区を担当する内閣府とのやりとりを記録したものとされ、内閣府側の発言として「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だ」などと官邸の関与を示唆している。民進党が5月に入手した。
 この文書について前川喜平前文科事務次官は、文科省の担当の専門教育課が作成したもので「在職中に共有していた」と断言し、行政文書であることを認めている。
 それでも政府は「出所不明」を理由に再調査しない考えを示し、菅官房長官は前川氏を個人攻撃し、問題をはぐらかしてきた。
 共同通信の取材に対し文科省職員は「上司への説明用に作成した」と説明。前川氏の証言と一致する。別の職員は「総理の意向といった文書が記されているのを見て、文科省にとって面倒な案件という認識がある」と述べた。
 民進党はさらに、内閣府が文科省に「官邸の最高レベルが言っていること」「『できない』という選択肢はない」と記載された文書を文科省内で共有したとみれるメールを公表した。
 学園が事業者に認定される前の時点で、文科省が学園選定を前提にしていたことがうかがえる新たな想定問答の文書も明らかになっている。
 現役職員の証言で安倍政権が、かたくなに再調査を拒んだ理由が分かった。文書に記録されていた官邸の意向が文科省内で共有され、公正・公平であるべき政策決定過程が「忖度(そんたく)」によってゆがめられた可能性があるからだろう。
 行政文書の扱いを定めた公文書管理法は、意思決定に至る過程を検証することができるよう文書を作成しなければならないとしている。
 具体的に(1)行政機関の職員が職務上作成し(2)組織的に使い(3)当該機関が保有している文書-などと定義し、行政文書は情報公開請求の開示対象にもなる。
 一連の文書も開示対象になるだろう。安倍首相は国民に対し誠実に説明責任を果たさなければならない。