<社説>国連「指針」違反 人権理事国らしい対応を

 日本政府が、東村高江や名護市辺野古の新基地建設で行ってきた警備活動は国連のガイドライン(指針)に反していることが明らかになった。

 政府は国連人権理事会の理事国として、あるいは国際社会の一員としてガイドラインに従わなければならない。
 国連人権理事会へ国連特別報告者が提出した報告書に、市民の抗議活動を各国が制限する際のガイドラインが示されている。国連ビルで開かれたシンポジウムでは、国連特別報告者が日本政府に熟読するよう求めた。
 昨年2月に提言されたガイドラインは(1)長期的な座り込みや場所の占拠も「集会」に位置付ける(2)座り込みなどによる交通の阻害は、救急車の通行といった基本的サービスや経済が深刻に阻害される場合以外は許容されなければならない(3)集会参加者に対する撮影・録画行為は萎縮効果をもたらす(4)力の行使は例外的に(5)集会による渋滞や商業活動への損害も許容されなくてはならない-という内容だ。
 米軍北部訓練場のヘリパッド建設や、辺野古新基地建設に反対する抗議行動に対する警備は、国連ガイドラインを逸脱していることになる。国際基準と言わずとも、ビラやチラシ、集会やデモ行進、座り込みなどは憲法21条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」として保障されている。
 ヘリパッド建設に対する抗議行動中に逮捕され、5カ月間勾留された山城博治沖縄平和運動センター議長について、国連特別報告者は「不均衡な重い罪を課している」としてガイドラインに反するとの認識を示した。
 米法学者も国際人権規約第9条違反と指摘し「山城さんのケースは明らかに微罪。米国の警察なら、仮に逮捕してもこの程度の微罪ならその日のうちに保釈している。これで長期勾留するなど民主国家としてあり得ない」と語っている。
 ガイドラインには「法執行者の構成は、そのコミュニティー(地域)を代表するものでなければならない」という規定もある。法執行機関と地域の「信頼」を重視したものだ。
 しかし、北部訓練場のヘリパッド建設で政府は、全国から500人以上の機動隊員を派遣し抗議する市民を排除し続けた。その過程で大阪府警の機動隊員が市民に「土人」と発言し、県民を深く傷つけ信頼が著しく損なわれた。
 日本は昨年、国連人権理事会の理事国選挙に、特別報告者との対話を重視すると共に「人権理事会の活動に積極的に貢献していく」と公約し当選したはずだ。
 山城さんに対する特別報告者の指摘に真摯(しんし)に向き合わなければならない。ところが「法に基づく適正なもので国際法違反はない」と開き直っている。理事国選挙の公約に反し、特別報告者を軽視する態度は許されない。