<社説>内閣支持率最低 正当性が問われている

 内閣支持率の低下が止まらない。共同通信が実施した7月の世論調査で安倍内閣の支持率は、2012年の第2次政権発足以来最低の35・8%となった。

 学校法人「加計学園」問題で安倍晋三首相は「真摯に(しんし)説明責任を果たす」と述べながら、国会閉会後に自ら説明する機会を設けなかった。「首相への信頼」を疑問視する世論が拡大しているのは当然である。
 外遊中の閉会中審査だけでは不十分とみた首相は、一転予算委員会の集中審議を受け入れた。首相が出席して、和泉洋人首相補佐官、木曽功元内閣官房参与、首相の友人である加計孝太郎加計学園理事長ら渦中の人物全てを参考人招致し、説明責任を果たすべきだ。そうしなければ国民は納得しない。
 不支持率は10・0ポイント増で最も高い53・1%。支持と不支持が逆転した。不支持理由として「首相が信頼できない」が前回比9・7ポイント増の51・6%で最多だった。第2次政権以降で初めて半数を超えた。不信感の高まりは深刻だ。
 第2次安倍内閣以降、首相は支持率が落ち込むと外交や経済の「成果」を強調して回復させてきた。
 この「成功体験」を繰り返すように、首相は7月5日から欧州歴訪に出発し、ベルギーで日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の大枠合意を宣言した。引き続きドイツで開幕した主要20カ国・地域首脳会談(G20サミット)で、核・ミサイル開発をやめない北朝鮮への制裁強化などを唱えた。しかし、支持率は回復しないどころか急落した。
 有権者総数に占める得票数の割合を示す絶対得票率でみると、安倍政権は「1強」ではない。自民党単独で290議席を獲得した14年12月の衆院選で、比例代表の同党の絶対得票率は16・99%だった。第1党に議席が集中する小選挙区の絶対得票率は、4人に1人に相当する24・49%にすぎない。
 本来なら比例では6分の1にしか支持されず「絶対安定多数」(266)を上回った政権であることを自覚し、いたずらに数に頼まない節度が求められるはずである。ところが、首相は重要法案を数の力を借りて強行採決してきた。特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」法しかりである。
 多様な価値観を尊重し、熟議により合意形成を図るのが民主主義である。異論や疑問には向き合わず、数の力で封じ込める手法に正当性はない。議会制民主主義の終焉(しゅうえん)を招くだけだ。
 今回、安倍政権下での憲法改正に「反対」が54・8%に上昇した意味を考えるべきだ。加計・森友問題は決定過程の正当性が問われているのである。国民の目先をそらし、風向きを変える材料として内閣改造を行うのであれば、もはや国民には通用しない。