<社説>日報隠蔽問題 稲田防衛相の即刻罷免を

 引き際を自ら決められない政治家に対し、国民の政治不信は募るばかりである。

 稲田朋美防衛相は21日、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報の隠蔽(いんぺい)問題に関し「隠蔽を了承したこともないし、陸自の保管の報告を受けたこともない」と重ねて否定し、辞任する意向がないことを強調した。
 安倍晋三首相はこれまで再三の罷免要求を拒み続けている。なぜそこまで稲田氏に肩入れするのか説明してもらいたい。首相の任命責任は重大であり、即時罷免を求める。
 複数の政府関係者によると、稲田氏は2月15日、防衛省事務方トップの黒江哲郎事務次官や岡部俊哉陸上幕僚長らと会議に出席。この場で、陸自が廃棄したとしながら保管していた日報のデータは、隊員個人が収集したもので、公文書には当たらないと判断し、非公表とする方針が決まった。これは組織ぐるみの隠蔽工作だ。
 稲田氏は3月、特別防衛監察を指示した後「防衛省、自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善していきたい」と述べた。ところが、調査を命じた人物が「隠蔽体質」の中心にいたことになる。
 さらに稲田氏は「私のシビリアンコントロール(文民統制)が利いているかも含め国民が見ている」とも述べた。文民統制は戦前の軍部の暴走に対する反省から取り入れられた。今回の事態は、稲田氏が制服組も文官も統制できない大臣であることをさらけ出した。
 陸自の日報保管が3月、報道によって発覚。稲田氏は3月16日の衆院安全保障委員会で、隠蔽行為について問われ「報告はされなかったということだ」と否定している。しかし今回、2月には報告を受けていたことが発覚した。国会答弁は「虚偽答弁」に当たる。もはや稲田氏には大臣としての資格はない。辞任すべきである。
 稲田氏はこれまでにも問題発言を繰り返してきた。
 2月に南スーダンPKOを巡り、武力衝突があったが、法的な意味での「戦闘行為」はないと発言し、戦闘を隠していると批判された。
 3月には森友学園との関係を問われ「顧問弁護士だったことも、法律的な相談を受けたこともない」と繰り返し否定した。ところが翌日「私の記憶が間違っていた」と撤回して謝罪した。
 最たるものは6月の東京都議選応援で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と自衛隊を政治利用する発言をしたことだ。同日夜「誤解を招きかねない発言があった」として撤回した。
 今回の日報隠蔽に関する特別防衛監察は、制度上問題がある。稲田氏ら政務三役が調査対象に含まれていないのだ。これでは全体像を把握できず、調査の信頼性が揺らぐ。稲田氏を聴取し、問題の所在を明らかにすべきだ。