<社説>「加計」閉会中審査 首相答弁も信用できぬ

 友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を、安倍晋三首相が把握した時期さえ揺らいだ。「過去の答弁は整理が不十分だった」との説明では到底納得できない。

 衆参の予算委員会は、安倍首相が出席して加計問題に関する閉会中審査を開いた。議論がかみ合わず疑念は払拭(ふっしょく)されるどころか、さらに募った。「総理の意向」で行政がゆがめられたのか。偽証すれば刑罰を科す証人喚問で、事実を解明すべきだ。
 安倍首相は加計学園の獣医学部新設計画を「学園の申請が認められた今年1月20日の諮問会議で知った」と以前の答弁と食い違う説明をした。
 6月には「国家戦略特区に申請を今治市と共に出された段階で承知をした」と説明していた。別の日には「特区ではなく(前身の)構造改革特区で申請されたことについて承知していた」と答弁した。「その後、国家戦略特区に申請すれば私の知り得るところになる」とも答弁している。
 今治市が国家戦略特区での獣医学部新設を提案したのは2015年6月である。16年10月には安倍首相が議長を務める諮問会議で、この提案が議論されていた。
 知った時期が「今年1月20日」というのは信じ難い。加計学園の事業者認定に安倍首相が関わっていないとするために、強引に日にちを設定したと疑わざるを得ない。
 安倍首相は25日の参院予算委で「従来の答弁をおわびして訂正したい」と述べた。国会答弁を首相の地位にある者が簡単に訂正するようでは、ほかの答弁の信憑(しんぴょう)性も疑われる。「整理が不十分」な答弁は、まだあるのではないか。
 安倍首相の「申請したのは今治市であり、加計学園ではない。事業主体が誰かは説明がなかった。数十件ある案件のうちの一つにすぎず、全く認識していなかった」との説明も、うのみにできない。
 愛媛県知事として長年、獣医学部誘致を進めてきた加戸守行氏は10日の衆参両院の閉会中審査で「12年前から声を掛けてくれたのは加計学園だけ。愛媛にとっては12年間、『加計ありき』だった」と説明している。
 今治市の獣医学部新設計画の事業者が加計学園であることは周知の事実だ。理事長と友人である安倍首相が今年1月まで知らなかったのは不自然であり、信用できない。
 前川喜平前文部科学事務次官は、和泉洋人首相補佐官から「文科省として手続きを早く進めろと指示された。総理の口から言えないから私が言うと言われた」と主張した。だが、和泉氏は「言っていない」と否定した。
 疑惑が解明されなかった以上、これで幕引きにすることは許されない。にもかかわらず安倍首相は、野党が求める早期の臨時国会召集には応じない考えを示した。安倍首相が真相究明に背を向けたことで、疑惑はさらに深まった。