<社説>飲酒運転3割増 交通安全教育の徹底を


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 「酒飲後、車を運転するつもりだった」という飲酒運転の“確信犯”が7割を超えることが、県警交通企画課が摘発者に実施したアンケート調査で明らかになった。

 摘発者の9割が飲酒運転の危険性や代償を学ぶ交通安全教育を受講していない。飲酒運転撲滅に向け、交通安全教育の徹底など対策の強化が急務だ。
 2017年1~6月(上半期)の県内の飲酒運転摘発件数は、前年同期比261件(30・9%)増の1105件で、3年連続で増加した。17年上半期の摘発件数は16年の通年に引き続き、全国で最も高く「ワースト」となった。
 摘発が増えた要因として、県警は「効果的な取り締まり」を挙げている。これまで検問をかいくぐってきた人を摘発できるようになってきたという。
 飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態になるといわれる。このため速度超過などの危険運転、車間距離の判断ミス、危険の察知が遅れるなど事故に結びつく危険性を高める。
 警察庁によると16年中の飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしの8・4倍に上っている。
 今回、飲酒運転の摘発者1856人中、1665人がアンケートに応じた。このうち1285人が回答した飲酒運転の理由については「捕まらないと思った」とした人が最も多く37・5%の599人だった。次いで「大丈夫だと思った」が28・8%の460人だった。
 飲酒運転は不特定多数の人たちの命を危険にさらすことにもなるのに、いかに規範意識が薄いかが分かる。
 こうした風潮が飲酒運転の低年齢化を招いている可能性がある。県警によると、16年に発生した飲酒絡みの交通死亡事故13件のうち、未成年者による事故は6件で全体の46%を占めた。
 今年に入って3月には那覇市内で酒気帯びでバイクを運転した女子中学生が逮捕された。女子中学生からは基準値の約2倍のアルコールが検出されたという。2月には男子小学生が酒気帯びでバイクを運転し、同乗していた男子中学生らが死傷する事故も起きている。家庭や教育現場で飲酒運転に関する教育が必要だ。
 さらに最も多かった摘発時間は午前1~同5時までの深夜帯で37・7%(628人)。通勤時間帯の午前6~同10時の摘発は18・1%(301人)だった。
 「一晩寝たから大丈夫」というのは思い込みに過ぎない。個人差はあるが、ビール大ジョッキ1杯(500ミリリットル)のアルコールが分解されるまで、飲酒後4時間程度かかるといわれている。
 全国ワーストから抜け出すために、飲酒運転を撲滅する機運を一層高めなければならない。