<社説>辺野古人権侵害 過剰警備を直ちにやめよ

 デモなどの意思表示は民主主義で保障された当然の権利だ。力で抑え込もうとするなら、そうした対応を取る組織は民主主義の敵といえる。

 新基地建設が進む名護市辺野古での抗議活動に参加する人へのアンケートで、参加者のほとんどが警備に当たる機動隊員から何らかの暴力を受けていることが分かった。明らかな人権侵害である。
 県警はアンケート結果を真剣に受け止めてもらいたい。その上で直ちに過剰警備をやめるべきだ。
 アンケートを実施したのは全国の弁護士でつくる日本環境法律家連盟と沖縄ジュゴン「自然の権利」訴訟弁護団だ。辺野古や北部訓練場のヘリ着陸帯建設に抗議する現場では、以前から過剰警備が何度も指摘されてきた。今回は法律家による調査で実態が明らかにされた。弁護団などは「違法性を明らかにして国際機関に働き掛け、日本政府に勧告するよう求める活動につなげたい」と述べている。
 弁護団などが公表したアンケート結果によると、回答207件のうち複数回答で「腕をひねる、ねじる、強くつかむ」行為を受けた人が90人もいた。このうち42人は内出血や捻挫したという。「殴る」「蹴る」も5人ずついた。
 不当な新基地建設に抗議する人々を強制的に排除するだけでも問題だ。さらに強大な権力を持つ警察による暴力行為が常態化している。県警は市民の安全・安心を確保するという警察官の使命を忘れてしまったのか。
 さらに弁護団は市民が身動きできないよう1カ所に隔離する行為も問題視している。
 機動隊のバスなどで市民を囲み、ひどいときには1時間近く排ガスを吸わされる。これに対し弁護団は「法的根拠が不明。監禁行為に当たり、令状などが必要な行為」と厳しく指摘している。
 恐ろしいのは、県警がこうした不当、違法性の高い行為に無自覚であるということだ。県警の重久真毅警備部長は7月6日の県議会総務企画委員会で、警察車両を使った市民の囲い込みについて問われ「排ガスを吸いたくなければ、違法行為をやめていただくことだ」と答弁した。
 法的根拠もなく市民を「監禁」する行為に対して、警備部門の責任者が容認しているのだ。幹部がこうした認識であれば、現場で過剰警備がはびこるのも当然といえる。
 県公安委員会は、県民を代表して警察を管理するだけでなく、県民の意見を警察行政に反映させる役割がある。即刻、過剰警備をやめるよう働き掛けてもらいたい。
 現場に立つ県警が矢面に立たされてはいるが、問題の根源は民意を無視した新基地建設を強行する政府にある。
 国民を危険にさらしてまで造る新基地にどれほどの価値があるのか。民意を無視した政策にどれだけの正当性があるのか。政府は弁護団の指摘を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。