<社説>日米2プラス2 いつまで従属続けるのか


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 やはり二つの国は対等ではなく、不均衡な力関係のままの状態が続いている。ワシントンで開催された日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表や記者会見の中身を知り、あらためて思い知らされた。

 日本側が米軍嘉手納基地の旧海軍駐機場継続使用とパラシュート降下訓練の問題を取り上げた。翁長雄志知事が今月14日、小野寺五典防衛相に2プラス2で協議するよう強く求めていたものだ。
 旧駐機場使用と降下訓練はいずれも、1996年の日米特別行動委員会(SACO)の合意をほごにしている。駐機場は騒音軽減を目的に滑走路反対側の沖縄市側に移転することで合意し、今年1月に移転した。ところが米軍は旧駐機場も継続使用している。明らかに合意違反だ。
 パラシュート降下訓練も読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場での実施で合意したはずだ。2007年に「嘉手納基地を例外的な場合に限って使用」することに日米で合意したが、今年5月に同基地で夜間降下訓練が実施された際、当時の稲田朋美防衛相は「例外的な場合に当たるとは考えていない」と述べ、合意違反との認識を示している。
 この二つの案件は翁長知事に強く求められなくても、日本側が2プラス2で米側に合意違反を直ちにやめるよう厳然とした態度で突き付けるべき事柄だ。
 小野寺防衛相と河野太郎外相が2プラス2でこの問題を米側にどう求めたのか。会見の説明を聞く限り「強く要請」した形跡は一切見当たらない。小野寺防衛相は「地元での強い要望を説明し、地元への配慮や安全性の確保を改めて要請した」、河野外相は「地元の理解を得るための努力が必要だと指摘した」と説明している。
 国家間の合意に背いている事柄について、2人とも日本政府の立場を一切示していない。沖縄という「地元」の「強い要望」に「配慮」し「理解を得るための努力」を米側に求めているだけだ。つまり人ごとなのだ。
 これに対して米側は駐機場の使用や訓練の中止などについて明確な応答をしていない。当然だ。知事の要望を伝えたとする免罪符でしかない要請に、米側が応えるはずもない。日本側のあまりの卑屈な姿勢にあきれるほかない。
 米軍普天間飛行場の移設についても「普天間の固定化回避には辺野古が唯一の解決策だ」として名護市辺野古への新基地建設の推進を確認している。12日に那覇市で開催された新基地建設の断念を求める県民大会には約4万5千人が集まった。政府は県内の根強い反対の声には一切耳を傾けず、米側の意向に従って工事を強行している。
 いつまで米国との従属関係を続けるのか。これ以上、沖縄がいびつな関係の犠牲を強いられるのは容認できない。

英文へ→OAfter 2-plus-2 Conference, How long will Japan continue to be subservient?