<社説>米労組反対決議 米国民と共に新基地阻止


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 沖縄の基地問題を国内だけでなく米国民に直接訴え、理解してもらい、連帯することが重要だ。

 全米で影響力を持つ労働団体、アジア太平洋系アメリカ人労働者連合(APALA)が沖縄県民と連帯し、名護市辺野古の新基地建設と北部訓練場のヘリパッド建設に反対する決議を採択した。
 決議は、第2次訪米行動中のオール沖縄会議の呼び掛けに対し、APALAの元会長で、UCLAレイバーセンター(労働研究・労働教育センター)所長を務めるケント・ウォン氏が提案した。APALAは全米に20余りの支部と、約66万人の会員を擁する労働団体だけに決議の意義は大きい。
 しかもAPALAの決議は、2015年に引き続き2度目であり、沖縄の基地問題に継続して取り組んでもらっていることが大事である。
 「沖縄県民との連帯」と題した決議は、「辺野古、高江での新基地建設を含む」在沖米軍基地の拡大に反対を表明している。各地域の労組や労働委員会、州政府、AFL-CIO(米労働総同盟産別会議)に同決議を広げていくことや、米連邦議会に対し、新基地建設支持をやめ、沖縄の人々の民主的な要求に敬意を表すべきだという文言が盛り込まれた。
 一方、今月12日にシカゴで開かれた退役軍人らでつくる平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」の年次総会も、琉球沖縄国際支部が提案した「名護市辺野古や東村高江での米軍基地建設に反対する決議案」を全会一致で可決した。オスプレイ撤去も求めた。辺野古での新基地建設、ヘリパッド建設に反対するVFPの決議は昨年に続いて2度目だ。
 米国および海外に訴えることの大切さは、沖縄の戦後史をたどれば分かる。
 米国統治下の1962年2月1日、立法院は全会一致で米国の植民地的支配を鋭く批判し、沖縄の主権回復を世界に訴え掛けた。
 決議文は60年に国連が採択した植民地独立付与宣言から「あらゆる形の植民地主義を速やかに、かつ無条件に終止させることの必要性を厳かに宣言する」という部分を引用した。
 これにアジア・アフリカ諸国人民連帯会議が反応し、サンフランシスコ講和条約が発効し沖縄が日本と切り離された4月28日を「沖縄デー」と定めて国際連帯行動を行うよう全てのアジア・アフリカ人民に訴える決議を採択した。
 国際社会の関心が沖縄に集まる中で、ケネディ大統領は沖縄政策を変更した。琉球は日本の一部と認め、日本と協力し合い、経済援助を増額するという内容だ。
 米国施政の維持が軍事上絶対に必要であることを前提にしていたので不評だったが、それでも沖縄が一致団結して取り組めば、結果を変えられることを示している。