<社説>オスプレイ大分離陸 欠陥機の配備撤回求める


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 このまま放置すれば、沖縄だけでなく、全国各地で重大なトラブルを引き起こしかねない。

 民間専用の大分空港にエンジントラブルで緊急着陸した米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、整備を終えて離陸、米軍岩国基地に到着した。
 今回の緊急着陸は深刻なトラブルだった可能性がある。設計上よりも短期間で交換が必要となるエンジンの欠陥と、機体整備の課題が指摘されているからだ。
 沖縄からオスプレイの早期配備撤回を強く求めると同時に、この欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退、欠陥機が使用する辺野古新基地建設断念と北部訓練場に整備された六つのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の使用を禁止すべきだ。
 オスプレイは今回、左右両エンジンの全部または一部を交換した。エンジン交換が必要だったことについて、米国防研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は「エンジンはオスプレイの大きな問題だ。1200時間ごとの交換として設計されたが、現在おそらく100~200時間ごとの交換となっているのではないか」との見方を示している。
 さらに、オスプレイは当初の設計より頻繁な部品交換が必要で、深刻な機体整備の課題があるとし「時折、飛行中に問題が発生し、緊急着陸を要する状況になる」とも指摘している。
 一方、オスプレイの空中給油はプロペラを上に向けた状態の「ヘリモード」では行えず、前方に向けた状態の「固定翼モード」でしか行えない。リボロ氏は「ヘリモードで補給することができないという事実は、予期されなかった航空機の欠陥」と述べ、オスプレイの新たな構造的欠陥であると指摘している。
 昨年12月に名護市安部の海岸に墜落した事故は、固定翼モードで夜間給油訓練中に発生した。プロペラが給油口の近くで回転しているため、乱気流や操縦ミスなどの要因で機体の位置がずれると、給油ホースがプロペラに衝突し、プロペラが損傷して重大事故につながる可能性が高いという。
 オスプレイの事故が突出していることは数字が示している。米海兵隊がアフガニスタンに配備しているオスプレイの2010~12米会計年度までのクラスA~Dの事故が90・4時間に1件発生している。同国に配備された海兵隊の全航空機による事故の発生は3746・8時間に1件の割合にとどまっており、オスプレイの事故割合は約40倍になる。
 小野寺五典防衛相は「今回の整備について心配する方も多い。飛行の安全に万全を期すよう、これからも米側に求めていく」と述べた。そうではない。オスプレイが飛行の安全に万全を期せない欠陥機であることを認めるべきだ。