<社説>オスプレイ緊急着陸 差別やめ沖縄から撤退を


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 この航空機に果たして空を飛ぶ資格などあるのだろうか。米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイのことだ。

 普天間飛行場所属のオスプレイ2機が新石垣空港に相次いで緊急着陸した。うち1機の計器に異常を知らせる表示が出て、右のエンジンにトラブルが生じ、オイルが漏れ出していた。
 中東シリアでも海兵隊のオスプレイが墜落し、軍人2人が負傷した。米軍準機関紙「星条旗」の取材に軍関係者は「敵による攻撃ではない」と証言した。操縦や機体の不具合などが事故原因だった可能性が高そうだ。
 普天間所属のオスプレイは昨年12月に名護市安部で墜落事故を起こして以来、この10カ月で数々の事故や機体の不具合を起こしている。8月にオーストラリアで墜落事故を起こしたほか、伊江島、奄美、大分、石垣で緊急着陸している。岩国ではエンジンから白煙を出し、大分で同じ機体のエンジンを交換した。
 オスプレイは開発段階の1991年から現在まで、少なくとも10数件の墜落、落下、地上に衝突、大破、炎上、着陸失敗などを起こし、42人が死亡している。米軍は墜落の度に「操縦士のミス」などと人為的な要因であることを強調してきた。
 しかし2006年の事故は乗員が飛行準備中、機体が突然離陸を始め、約9メートルの高さまで上昇後に地面に落下した。海兵隊は「機体は離陸するはずではなかった」と分析している。飛ぶ意思がないのに、勝手に飛んでしまう航空機が存在すること自体が脅威だ。構造的な欠陥がないと強弁されても、誰が信じるというのか。
 10月1日でオスプレイが沖縄に強行配備されて5年がたった。現在、オスプレイは普天間飛行場、米軍北部訓練場、伊江島補助飛行場、宜野座のキャンプ・ハンセンなど県内各地の米軍施設で飛行訓練を繰り返している。
 本島全域と周辺の上空はオスプレイの訓練場と化している。いつ頭上からオスプレイが落下してもおかしくない危険な状況の中、県民は日々の暮らしを送らざるを得ない。極めて異常な状況だ。
 県内は強行配備前、知事、全41市町村長が超党派で配備に反対を表明した。議長と首長らは配備4カ月後に東京行動を展開し、安倍晋三首相に配備撤回などを求める「建白書」を手渡した。「建白書」では、安倍首相にこう訴えた。
 「危険なオスプレイを配備することは、沖縄県民に対する『差別』以外の何物でもない。(中略)国民主権国家日本の在り方が問われている」
 県民が突き付けた問い掛けに、政府はどう答えるのか。県民の生命と財産を脅かす危険極まりないオスプレイをただちに普天間飛行場から撤退させるべきだ。それ以外に県民に対する差別をやめる方法はない。