<社説>新横田基地騒音判決 基本的人権に背を向けた

 日米安保のために「住民は騒音に耐えろ」と言うに等しい。基本的人権の尊重に背を向けた判決である。

 米軍横田基地(東京都)の周辺住民が米軍機などの夜間・早朝の飛行差し止めと、騒音被害の賠償を国に求めた第2次新横田基地公害訴訟の判決で、東京地裁立川支部は飛行差し止め請求を認めなかった。
 基地騒音を巡っては、最高裁が昨年12月、第4次厚木基地(神奈川県)騒音訴訟の判決で(1)米軍機の飛行差し止めは国内で審理できない(2)民事訴訟で自衛隊機差し止めは請求できない(3)将来分の騒音被害は賠償請求できない-との判断を示した。
 2014年5月の厚木騒音訴訟一審判決は午後10時~翌午前6時の自衛隊の飛行差し止めと約70億円の賠償を命令。二審東京高裁は15年7月、差し止めに加え、将来分の被害を合わせた約94億円の支払いを命じた。この判断は最高裁によって葬り去られた。
 原則的に下級審は最高裁の判例に従うため、昨年12月の最高裁判断に縛られることになる。だが、その判断には疑問がある。
 日本国内で起きた問題にもかかわらず、基地の運用を定めた日米地位協定を理由に、騒音被害をもたらす米軍機の飛行差し止めについて実質的に審理しないのである。
 このような状況はどう考えても理不尽だ。司法による救済の限界で済まされる問題ではない。
 新横田訴訟判決で瀬戸口壮夫裁判長は「軍用機の運航には公共性があるものの、原告に特別の犠牲を強いるのは不公平だ。賠償を命じる判決が繰り返されてきたのに(住宅防音工事の助成など)国の対策は、限定的な効果しかない。抜本的に解決しようとする努力が十分とは言えない」と指摘した。
 「不公平」「解決努力が不十分」と認定したものの、これまでの被害として国に総額約6億1千万円の賠償を命じただけでは、原告らの理解は到底得られない。
 将来分の賠償を命じた確定判決はこれまで出ておらず、住民らは訴訟を繰り返さなければ金銭的な補償を得られない。騒音被害を強いることを前提に米軍機を飛行させ、裁判に訴えれば、過去分の賠償金を支払うことが果たして健全と言えるのか。
 国は家屋の防音工事を助成しているが小手先の対応でしかない。米軍機の飛行を差し止めることでしか、問題は解決できない。
 騒音被害を基地周辺住民が受け続けることを容認する司法の在り方は断じて認められない。だが、悪しき判例が出た以上、国が日米地位協定の改定に乗り出さない限り、騒音被害は今後も続く。
 騒音被害の元凶ははっきりしている。夜間・早朝の米軍機などの飛行禁止を実現しなければ、基地周辺住民は永遠に救われない。