<社説>オスプレイ知事調査 沖縄からの発信強化を


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 墜落事故やトラブルが相次ぐ米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸機MV22オスプレイを、全国の知事が厄介者扱いするのは当然だ。

 オスプレイが住民生活を脅かす危険な存在であることは沖縄でも変わりないことを理解し、配備撤回を後押ししてもらいたい。
 名護市安部の沿岸で起きたオスプレイ墜落事故から1年を機に、共同通信社が全国の知事に訓練の受け入れなどの賛否を聞くアンケートを実施した。
 その結果から見えるのは沖縄の声に共感する知事がいる一方で、「国の専権事項」との答えに逃げ、沖縄の痛みを見ぬふりするような知事の多さである。
 住民の安全を預かる知事としてはある意味、当然の対応なのだろう。だが、訓練の移転を拒否することだけで終わってほしくない。そこから一歩踏み出し、国外撤去へのうねりをつくってほしい。
 オスプレイの訓練の沖縄県外移転には徳島と高知が「賛成」し、新潟、静岡、兵庫、和歌山、長崎、大分、宮崎が「どちらかというと賛成」した。だが、訓練の地元受け入れに「賛成」はおらず、新潟だけが国による情報開示と十分な説明などを条件に「どちらかというと賛成」とした。
 在日米軍専用施設の約7割が集中する沖縄の負担軽減の必要性には一定の理解を示しつつも、地元への訓練受け入れといった具体的な負担軽減策には消極的にならざるを得ないということだろう。オスプレイの危険性を認識しているためであることは、容易に想像がつく。
 東京などは、訓練の県外移転や地元受け入れなども「国の専権事項」と回答している。訓練移転は日米両政府が合意している。「国の専権事項」とする知事は、地元で受け入れるべきである。
 沖縄のオスプレイ配備撤回要求に理解や共感が「できる」としたのは埼玉、静岡、徳島、熊本、「どちらかというとできる」は岩手、鳥取、香川、高知、大分、宮崎。理解を示したのは10人にとどまった。
 危険なオスプレイの配備撤回要求は、沖縄県民の安全を守る上で当然である。「立場・心情として理解できるが、国がその責任において判断するべきもの」(宮城)「理解するが答える立場にない」(長野)などとしながらも、意思表示しない知事もいた。基地問題には関わりたくない本音が透けて見える。
 沖縄1県だけで米軍基地問題を解決することは難しい。47都道府県が一丸となれば、沖縄の要求実現の大きな力になる。
 だが、オスプレイに関する問題の沖縄からの発信が弱いことは否めない。県を中心に全国への発信を強化し、共感する知事を増やす必要がある。米軍基地問題を全国的な問題にすることで、オスプレイの配備撤回を実現したい。