<社説>’17回顧 スポーツ 活躍が県民を勇気づけた


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 世界や国内のスポーツ大会で県勢は今年も輝きを放ち、胸のすく活躍に多くの県民が勇気づけられた。新たなヒーローも誕生するなど、今年は特に記憶に残る年となった。

 ボクシングの比嘉大吾選手は5月、6回TKO勝ちでWBCフライ級王座を獲得。日本ボクシングコミッション認定の県出身世界王者は平仲明信さん以来25年ぶりの誕生である。偉業をたたえたい。
 次戦は来年2月、県立武道館で闘う。15連続KO勝ちの日本記録に並び、2度目の防衛に花を添えてほしい。県ボクシング界は比嘉選手の凱旋(がいせん)試合を「ボクシング王国」復活のきっかけにしてほしい。
 女子ゴルフの元世界ランク1位の宮里藍さんは9月に引退した。女子ゴルフ界の隆盛をけん引した功績はスポーツ史に刻まれよう。
 藍さんの兄宮里優作選手は男子ゴルフで県出身初の賞金王に輝いた。プロデビューから15シーズン目での栄冠は、諦めずに努力することの大切さを教えてくれた。
 プロ野球ソフトバンクホークスの東浜巨投手は16勝を挙げ、パ・リーグ最多勝に輝いた。野球少年に夢と目標を与える効果は計り知れない。
 空手では喜友名諒、金城新、上村拓也の3選手が活躍した。喜友名選手はワールドゲームズ男子形で優勝、全日本選手権は6連覇。3選手はアジア選手権団体形を連覇し、世界空手連盟主催の国際大会・空手1シリーズA沖縄大会でも優勝。喜友名選手は個人形も制した。
 東京五輪の金メダル獲得を目指す喜友名選手を県民挙げて支援したい。
 重量挙げの糸数陽一選手が11月の世界選手権男子62キロ級で銀メダルに輝いたことは特筆に値する。日本男子の世界選手権でのメダル獲得は36年ぶりの快挙を誇りたい。
 体操の安里圭亮選手はW杯男子跳馬で優勝。ボウリングの安里秀策選手は世界選手権トリオ戦で、幸喜将太選手は男子ダブルスで銅メダルを獲得した。レスリングの屋比久翔平選手は全日本選手権男子グレコ77キロ級を制し、旧階級を含め3年連続3度目の優勝を果たした。仲里優力選手(北部農林高)は高校総体や国体など計5冠を獲得した。後輩も続いてほしい。
 多くの選手とチームが残した好成績は厳しい練習に耐えた選手だけでなく、熱心に指導した関係者、支えた保護者それぞれの力で勝ち取った栄冠である。敬意を表するとともに、さらなる飛躍を期待したい。
 ボクシング世界王者・比嘉選手は母校の浦添市立仲西中学校を訪れた際、「負けたり挫折したりすることが、その後の成功につながる」「好きなことを一つでもやり抜くこと」と後輩を励ました。
 トップクラスの選手の言葉は子どもたちの胸に必ずや響く。多くの選手が子どもたちと触れ合う機会を増やし、大きな刺激を与えてほしい。