<社説>県内政局展望 判断が試される重要な年


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 2018年は沖縄の行方を決めるひときわ重要な年となる。1月21日投開票の南城市長選を皮切りに、2月4日の名護市長選、県内政局の天王山となる秋の県知事選まで17市町村長選と30の市町村議会選挙、知事選があるからだ。「選挙イヤー」と呼ばれる年、有権者の選択が地域や沖縄県の行方を決める。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設が引き続き、沖縄の政治の最大課題になるのは間違いない。政府は辺野古海域埋め立ての第一段階となる護岸建設を着々と進める。計画が遅れているため政府は資材搬入に陸上だけでなく、海路まで使う強硬な姿勢を見せている。遅れの理由は工事現場入り口のキャンプ・シュワブゲート前での5千日を超える抵抗運動の結果であり、それは沖縄の民意に支えられている。
 翁長雄志知事は新基地建設を阻止するために、前知事が出した辺野古海域の埋め立て承認を撤回する意向を示している。新年を前にしたインタビューでも「撤回の認識は十二分に持っている。行政の長の私が、時期も含めて決めていく」と述べた。撤回の時期とその後の政府の対応は焦点になる。
 辺野古移設を軸とした県と政府の対立の中、各首長選や各議会議員選挙の結果が県知事選にも影響するだろう。最も注目されるのは2月4日投開票の名護市長選だ。
 現職の稲嶺進氏と元市議で新人の渡具知武豊氏の一騎打ちが予想される。移設に反対し「辺野古の海にも陸にも基地は造らせない」とする稲嶺氏に対し、これまで辺野古移設を容認する立場だった渡具知氏は辺野古移設に対する態度を明らかにしていない。辺野古移設を進めたい政府側は菅義偉官房長官が年末に名護入りし、てこ入れを図った。選挙結果は移設計画に大きな影響を与え、県知事選を占う上でも重要な選挙となる。
 そして県知事選だ。
 翁長知事は2選出馬の明言はしていないものの、与党各党は知事の再出馬は既定路線とみる。
 翁長知事は初当選した14年の知事選では、4候補が立候補した中、相対得票率51・6%と過半数を占め圧勝。翁長知事を支援したオール沖縄陣営は参院選や県議選では勝利を収めた。しかし、その後の首長選では連敗。保守側の一翼を担った那覇市議会最大会派「新風会」も消滅した。保革の枠を超え盤石の態勢に見えたオール沖縄陣営は厳しい状況だ。
 対する県政野党自民党県連の人選は名護市長選後本格化する。自民党県連は昨夏、公約を変え、辺野古移設を容認した。今後の全県選挙では辺野古移設が明確な対立軸となる。
 その中で迎える選挙イヤーだ。沖縄の政治課題を解決するために、私たちが託された選択は重い。政策論争を活発化させ、有権者の判断を仰いでほしい。