<社説>ハリス氏「満足」発言 不適切にも程がある

 人的・物的被害が出なければいいという考えは、断じて容認できない。

 ハリス米太平洋軍司令官は小野寺五典防衛相との会談で、米軍普天間飛行場所属機の不時着が相次いでいることに関し「一番近い安全な場所に降ろす措置に満足している」と述べた。
 言語道断だ。うるま市伊計島での不時着は民家から約100メートル離れた所だった。読谷村での不時着は比謝川行政事務組合の敷地内で、大型リゾートホテルから約250メートルの距離だった。
 不時着した場所はいずれも県民の生活圏である。一歩間違えば大惨事になった。たまたま被害が出なかっただけである。「安全な場所」「満足」などの言葉を口にするのは不適切にも程がある。
 小野寺氏は会談後、「米軍が緊急着陸をした場所は民家に近い場所だったり、たくさん客がいるホテルの近くだったりで、広場であっても周辺にあれだけ人家があるということは、決して安全な場所ではない」と述べた。その通りである。だが、小野寺氏はハリス氏に十分伝えていない。
 小野寺氏はその理由を「他にも北朝鮮その他の案件があったので、そこまで詳しくは触れなかった」とし「河野統幕長が来週、ハリス司令官とも会う。さまざまなレベルで具体的な説明をさせたい」と述べた。
 防衛省トップとしてハリス氏に「安全な場所ではない」と即座に指摘すべきだ。「満足」発言にも抗議し、撤回を求めてしかるべきである。
 不時着については会談の最後に話し合ったという。真っ先に取り上げなかったのは、両氏が不時着問題をさほど深刻に受け止めていないからではないのか。
 この間、事故やトラブルに対する米軍の過小評価を改めさせる努力を政府が怠ってきたことや、米軍と同じ認識しか持たない大臣の存在が相次ぐ事故を招いた。
 2004年の沖国大米軍ヘリ墜落事故では、在日米軍司令官が講演で、乗員の努力でけが人が出なかったとして「素晴らしい功績があった」と発言。町村信孝外相(当時)は「操縦士が上手だったこともあって重大な被害が出なかった」と発言した。大学構内への墜落という重大な事故でも、米軍の理論がまかり通るのである。
 16年の名護市安部へのオスプレイ墜落事故で、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は「住宅や県民に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」と述べ、県の抗議に不快感を示した。
 この3氏とハリス氏に共通することは、県民視点の欠落と当事者意識の欠如である。
 翁長雄志知事はハリス氏発言について「このような(発言をする)体質が米軍の中にある限り、県民の生命、財産は守れない」と述べた。米軍は今度こそ、この言葉の重さを真摯(しんし)に受け止めるべきだ。