<社説>琉球新報活動賞 よりよい社会の原動力


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 第40回琉球新報活動賞は、社会・地域・教育・産業・文化などの発展に貢献し続けている個人や団体に贈られる。

 目標に突き進み、課題解決に取り組む受賞者らの活動に多くの人が励まされ、刺激を受けてきた。それぞれの活動は、よりよい社会づくりの原動力でもある。
 平田久雄氏は沖縄・台湾交流振興会沖縄会長を務める。「交流活動を続け双方の観光や文化、スポーツ振興に寄与したい」。平田氏の活動で台湾はより身近になった。
 沖縄いのちの電話(国吉守理事長)はボランティア相談員100人が年約1万件の電話に対応する。自死を考える人に献身的に寄り添い、「命綱」の役割を果たしてきた。
 しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄(秋吉晴子代表)は非婚ひとり親世帯への寡婦控除の支援拡充を26市町村(2016年時点)で実現。多くの女性が励まされたはずだ。
 山城克己伊江島観光協会元会長は県内の民泊事業の礎を築いた。「経済効果もあるが、心の交流が大切」。その信念が伊江村を教育民泊の先進地に成長させた。
 NPO法人エンカレッジ(坂晴紀理事長)は困窮家庭の意欲ある中学生の支援に力を注ぐ。行政と連携し無償学習塾にも取り組む。「ゴールは社会につなげること」。社会全体で共有したい。
 50年の歴史を誇る沖縄昆虫同好会(比嘉正一会長)が年1回出版する会報「琉球の昆虫」には丹念な調査の成果が詰まる。今ある自然を後世に伝える役割にも注目したい。
 JCC会長の渕辺俊一氏と副会長の渕辺美紀氏は「沖縄文化を広く深く正しく全世界に発信しよう」と外食、ホテル、貿易などを手掛ける。沖縄文化が世界に通用することを体現した功績は大きい。
 宮里好一医療法人タピック理事長は医療福祉を中心にスポーツ施設、リゾートホテルなどを運営する。「社会的課題の解決に貢献する事業」の展開は、沖縄をさらに飛躍させよう。
 演芸集団「フリーエンジョイカンパニー」(山城智二社長)はウチナーンチュ芸人を多数輩出。人気コント「お笑い米軍基地」は沖縄の置かれた状況を笑いであぶりだし、基地問題への理解を広げた。
 写真家の石川真生氏は「大琉球写真絵巻」で沖縄戦、米軍統治下の人権侵害などを活写。不条理が横たわる沖縄の問題に無関心な本土の認識を問い直し続ける。主張する写真は見る人の心を揺さぶる。
 高文研(飯塚直社長)は題名に「沖縄」の付く本を86冊出版した。出版する本の10冊に1冊強が沖縄本である。「一冊でも多く沖縄の本が売れるよう仕掛けたい」。本土での沖縄理解を深化させる心強い応援団である。
 分野は違えども、新報活動賞を受賞する5氏6団体が社会に果たした貢献は計り知れない。長年の活動に敬意を表するとともに感謝したい。