<社説>オスプレイ機体一部落下 全機種飛行停止求める


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 今度は、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの機体の一部を落とした。2カ月前に、CH53E大型輸送ヘリコプターの窓が普天間第二小学校の運動場に落下したばかりだ。

 米軍に安全管理、再発防止ができない以上、オスプレイを含む在沖米軍基地の全機種の即時飛行停止と訓練の中止を強く求める。
 落下したのはオスプレイの右側エンジンにある空気取り入れ口。うるま市伊計島の西側の大泊ビーチ近くの海上に浮いているのをビーチの従業員が見つけ、砂浜に引き上げた。縦70センチ、横100センチ、幅65センチ、重さ約13キロで半円形をしている。
 沖縄防衛局は、部品を落下させた機体が8日午前に米軍普天間飛行場へ着陸したのを確認している。米軍は落下を1日以上、沖縄防衛局に連絡していなかった。その理由を明らかにすべきだ。
 発見場所はビーチの近くであり、夏のシーズン中なら重大事故につながりかねない。米軍は伊計島では今年1月、普天間所属のUH1多用途ヘリが島の東側海岸に不時着したばかりだ。
 航空法第6章は、飛行記録装置の設置、夜間の灯火、物の投下の禁止などを定めているが、米軍は航空特例法で第6章が原則として適用されない。命にかかわる問題なのにもかかわらず、二重基準が存在するのはおかしい。
 石井啓一国交相は1月30日、衆院予算委員会で米軍機に自由度の高い飛行を認めている航空特例法を改正し、航空法第6章を米軍にも適用するよう求められ「日米地位協定に基づいて活動が認められている」などと繰り返し、拒否する姿勢を示した。
 これで主権国家と言えるだろうか。米軍が大規模に駐留するドイツやイタリアでは米国との協定で、受け入れ国側が米軍基地の管理権を確保し、その国の法律を米軍の活動に適用するなど、自国の主権を担保する仕組みがある。日本はなぜできないのか。政府は、県民の生命と財産を守るために、米国と主体的に交渉すべきだ。
 県基地対策課のまとめによると、県内で米軍機による部品落下、不時着などの事故の件数は2017年中で29件に上った。
 事故はほとんどの機種で発生している。オスプレイをはじめAH1Z攻撃ヘリ、CH53大型輸送ヘリ、E3空中早期警戒機、F15戦闘機、F35ステルス戦闘機、KC135空中給油機、P3C哨戒機、U2偵察機、MC130特殊作戦機だ。枚挙にいとまがない。全機種の飛行停止を求めるのは当然だ。
 事故が起きるたびに県などの訓練中止要請などに米軍は耳を貸さず、事故を起こした同型機を含めた訓練を続け、事故を繰り返す。狭い沖縄の上空で訓練を続ける限り事故はなくならない。県民の安全を脅かす海兵隊は撤退するしかない。