<社説>黒田日銀総裁再任へ 「出口戦略」を明確に

 政府は日銀総裁の黒田東彦氏を再任させる国会同意人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。再任されれば、山際正道氏以来、半世紀ぶりに在任期間が5年を超える異例の総裁となる。

 黒田氏は大規模な国債買いやマイナス金利政策、上場投資信託(ETF)購入など「禁じ手」とされてきた緩和策に踏み切った。日経平均株価は、家計の景況感と懸け離れてバブル経済崩壊後の最高値を相次いで更新していった。しかし、当初2年程度で実現するはずだった物価目標はいまだに実現していない。
 2008年のリーマン・ショック後の世界的な金融危機に対応するため、先進国の中央銀行は大規模な金融緩和策で足並みをそろえた。ただ米欧では、異例の緩和策を見直して金融政策を正常化する動きが始まっている。行き過ぎた金融緩和を終える「出口戦略」が黒田氏が率いる日銀の大きな課題となる。
 日銀は16年1月、新興国経済の減速による悪影響を防ぐ景気刺激策としてマイナス金利の導入を決定し、短期金利をマイナス0・1%としている。住宅ローン金利や企業向け貸出金利を幅広く押し下げた一方で、民間銀行は収益低下に苦しんでいる。
 東京証券取引所などに上場する地方銀行82社(持ち株会社を含む)の17年4~12月期決算は、純利益の合計が前年同期比17・9%減の8179億円となった。全体の約6割に当たる49社が減益だった。18年3月期の通期予想は、純利益合計が前期比13・4%減の9211億円と5年ぶりに1兆円を割り込む公算だ。
 日銀の大規模な金融緩和策のあおりを受け、多くの地銀で本業である貸し出しの利ざやが縮小している。資産運用や手数料収入といった他の部門での穴埋めはできていない。18年3月期の純利益は7割近い55社が前期に比べて減ると予想している。
 一方、マイナス金利政策が続く中、県内3行の貸出約定平均金利も減少傾向となっている。各行の貸出金利回りを見ると、琉球銀行は1・669%、沖縄銀行が1・59%、沖縄海邦銀行が2・04%となっている。県内の好景気に後押しされて、不動産業などへの事業性融資や住宅ローン、アパートローンが順調に伸びた。3行合計の貸出金平均残高は16年12月末比5・3%増の3兆4586億円となっている。
 とはいえ、17年4~12月連結決算を見ると、県内地銀3行とも本業のもうけを示すコア業務純益は前年同期比で減少している。日銀が現在の金融緩和策を維持すれば、貸出金利回りの低下など、金融機関を取り巻く現在の状況は続き、体力を奪わてしまう。
 黒田氏はこれまで出口戦略について語っていない。再任されれば中央銀行総裁として、自らの金融政策が招いた副作用と向き合い、正常化へかじを切る覚悟が必要だ。