<社説>普天間小上空飛行 即時運用停止しかない


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 米軍機が沖縄上空で飛行する資格はない。

 宜野湾市普天間の市立普天間小学校上空を2月28日午後5時から5時半にかけて、米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが飛行した。小学校上空を飛ぶのは、この2カ月間で3回目である。県民の生命・財産を守るため、県議会が決議したように普天間飛行場を即時運用停止するしかない。
 昨年12月13日に普天間第二小学校で起きた普天間所属のCH53E大型輸送ヘリコプターによる7・7キロの窓落下事故を受け、防衛省と在日米軍は宜野湾市内の学校施設上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」ことで合意した。防衛省は合意により「米軍の行動は担保される」と強調していたはずだ。
 だが、今年1月18日に普天間所属の海兵隊ヘリ3機が同校上空を飛行した。合意破りに対し、県教育委員会は、県内の全小中高校や特別支援学校上空の飛行禁止を米軍に求めるよう、沖縄防衛局に対し要請した。
 だが、要請を無視するかのように、2月23日に米海軍ヘリMH60が同校の上空を飛行。その5日後に普天間小上空を飛行した。運動場で野球をしている児童の上を飛ぶオスプレイの動画が証拠だ。
 児童の生命が危険にさらされているにもかかわらず、沖縄防衛局は「SNSなど、当局で確認できない情報を基に米側に確認することは考えていない」と回答した。全く理解できない。
 日米合意がいとも簡単に破られるのは、日本政府が弱腰だからだ。防衛局は何のために沖縄に設置されているのか。
 防衛局が「当局で確認できない」と開き直るのなら、国の責任で普天間第二小同様に、県内の全小中高校と特別支援学校、幼稚園、保育所、病院に監視カメラを設置し、監視員を配置すべきだ。
 県基地対策課のまとめによると、県内で米軍機による部品落下、不時着などの事故の件数は2017年中で29件に上った。
 事故はほとんどの機種で発生している。オスプレイをはじめAH1Z攻撃ヘリ、CH53大型輸送ヘリ、E3空中早期警戒機、F15戦闘機、F35ステルス戦闘機、KC135空中給油機、P3C哨戒機、U2偵察機、MC130特殊作戦機だ。これらの機種が沖縄の上空を自由に飛び回っている。
 米軍が大規模に駐留するドイツやイタリアでは米国との協定で、受け入れ国側が米軍基地の管理権を確保し、その国の法律を米軍の活動に適用するなど、自国の主権を担保する仕組みがある。
 日本も米国と主体的に交渉すべきだ。米軍機に自由度の高い飛行を認めている航空特例法を改正し、航空法第6章を米軍にも適用するよう求める。児童が安心して学ぶ環境を保障する責任が政府にある。