<社説>原発ゼロ求める世論 再稼働やめ再生エネを

 「原発ゼロ」を願う世論は、あの大惨事から7年たった今も、揺るぎないことが改めて示された。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から7年になるのを前に実施した全国世論調査で、今後の原発の在り方について、ゼロを求める意見が4人中3人に上った。
 原発の再稼働に前のめりとなっている政府は、国民の声を重く受け止め、脱原発にかじを切るべきだ。
 調査では「段階的に減らして将来的にゼロ」が64%、「いますぐゼロ」が11%で合わせて75%に達した。一方、「段階的に減らすが新しい原発をつくり一定数を維持」は20%、「新しくつくり事故前の水準に戻す」は2%にとどまった。
 「将来的にゼロ」は党派を問わない。自民党支持層でも63%、公明党支持層で61%と最多だった。無党派層の66%と大差ない。国民の多くは原発を将来も持続すべき電源とは見ていないのは明らかだ。
 さらに、政府が進める原発再稼働について「安全性は向上したが深刻な事故の懸念は残る」との回答が56%にも上った。「安全性は向上しておらず事故の懸念も残る」27%と合わせると8割を超す。原発の安全性を示す原子力規制委員会の新規制基準が信頼されていない証しでもある。
 再稼働に不安を抱き、脱原発を求める意見は多数派を占め続けている。政府の原子力政策に根強い反発がある。
 福島第1原発事故は人類史上最悪レベルの惨事だった。国際基準ではチェルノブイリ事故と同じ「レベル7」の深刻度だ。福島県では最大で約16万人が県内外に避難を強いられた。
 避難者は5万人に減ったものの、依然、住民生活に影を落とし続けている。立ち入り制限が続く帰還困難区域はなお7市町村に残る。避難指示が解除された地域でも、8市町村は実際の居住率が3~30%にとどまる。事故は7年たっても収束していない。
 突然に古里を奪われ、家族が分断され、人生を変えられた人も多い。原発関連死で命を失った人もいる。内堀雅雄福島県知事が「いまだ有事だ」と表現する通りだ。
 世界のエネルギー政策の潮流は再生可能エネルギーへの転換である。2011年に全原発閉鎖を決めたドイツのほか、昨年は韓国が閣議決定で、台湾やスイスは法制化して脱原発に向かっている。
 これに対して日本は、いまだに原発を重要な基幹電源と位置付け、発電比率20~22%を目標に掲げている。これだと30基以上を稼働させないといけない計算になる。
 事故処理や廃炉などに莫大(ばくだい)なコストがかかる原発よりも、風力や太陽光など再生可能エネルギーにこそ資金を投じ、普及させる方が得策だ。
 国民世論や世界の流れに逆行してはいけない。再稼働をやめ、原発ゼロを現実的政策として取り組むべきだ。