<社説>海外から有害ごみ 国際的連携が急務だ

 県内の海岸への中国や韓国など近隣アジア諸国からの有害ごみの漂着が深刻だ。

 漂着したのは廃ポリタンクや水銀を含む蛍光灯、電球、医療廃棄物などである。県海岸漂着物等対策推進協議会座長の山口晴幸氏の20年間の調査で明らかになった。
 有害ごみは海浜域に生息する動植物の生態系に悪影響を及ぼし、景観も損なう。国際的な連携が急務だ。特に東アジアで海洋越境廃棄物の軽減・防止対策を強化する必要がある。
 調査は1998年から2017年にかけて北部の伊平屋島から最西端の与那国島に至る県内18島、延べ837海岸で実施した。漂着物の中でも撤去処分が難しい危険・有害・粗大廃棄物9種類を選んで、個別に実態を把握した。
 内訳は電球・水銀ランプ類が最も多く、次いで蛍光灯管類、医療瓶類、韓国製ポリタンクだった。ポリタンクの2~3割には鉛やヒ素など有害物質が残っていた。
 石垣、西表、宮古、与那国の4島に集中し、タイヤ類や感染リスクが懸念される注射器類、ドラム缶類の漂着も目立つ。
 今回の調査結果にはなかったが、環境破壊が懸念されている微細なプラスチックごみ「マイクロプラスチック」も沖縄の沿岸から高密度で検出されている。中国、インドネシア、フィリピンなどからの漂着が多い八重山、宮古など先島の海岸域の検出量が極めて多かった。
 マイクロプラスチックはペットボトルやレジ袋、漁具などのプラスチックごみが海に流され、時間をかけ、紫外線や波によって壊れて5ミリ以下に細かくなったものだ。
 プラスチックにはポリ塩化ビフェニール(PCB)など有害物質を吸着する性質があり、これをのみ込んだ魚や海鳥の体内に蓄積するため、人体への影響も懸念される。実際に国の天然記念物オカヤドカリ類の体内から高い濃度のPCBが検出されている。
 紫外線が強く、大量のごみが漂着し集積する沖縄の沿岸域は県外の沿岸域より事態は深刻だ。プラスチック製品に依存しすぎている私たちの生活スタイルを見直す時期にきている。
 海外からの漂着ごみを市町村予算で拾い集めて処理するには限界がある。国が回収・処理に関わる必要がある。  国際的な発生源対策も必要だ。昨年6月、イタリアのボローニャで開かれた先進7カ国(G7)環境相会合でプラスチックごみなど海のごみ対策の強化が盛り込まれた。「使い捨てプラスチックの削減を徐々に進める」と宣言。実態を正しく把握するため、比較・検証できる形でモニタリングや評価の手法を共通化する。昨年7月のG20ハンブルクサミットは、初めて海洋ごみ問題を取り上げた。
 世界自然遺産への登録を目指す沖縄にとって、海洋ごみ抑制は喫緊の課題である。