<社説>地位協定改定を要求 全知事の総意受け止めよ

 全国知事会が日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択した。全国知事会が日米地位協定の改定を提言するのは初めてだ。画期的な動きであり、採択を機に地位協定改定の実現につなげたい。

 提言がまとめられたのは、2016年7月に翁長雄志知事の要望で設置した「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」が出発点だ。研究会は12人の知事で構成し、2年間で6回の会合を開催した。
 日米地位協定を専門とする研究者から意見聴取したほか、外務省日米地位協定室長から政府の立場を聞き、イタリアとドイツの地位協定について現地調査した沖縄県からも意見を聞いた。
 こうした調査研究を進めた目的について、知事会は「在日米軍基地に係る基地負担の状況を基地などの所在の有無にかかわらず広く理解し、都道府県の共通理解を深めること」を挙げている。極めて妥当性がある。
 琉球新報が研究会設置前の16年6月に実施した沖縄以外の46都道府県知事へのアンケートでは、在沖海兵隊について「受け入れる」と答えた知事はゼロだった。45都道府県知事は「外交・防衛は国の専権事項」だとして回答すらしなかった。沖縄の基地問題が全国的な議論になっていないことを如実に示していた。
 ところが今回の提言は全会一致で採択された。提言では研究会によって「現状や改善すべき課題を確認できた」として「米軍基地は防衛に関する事項であることは十分認識しつつも、各自治体の生活に直結する重要な問題であることから、国民の理解が必要だ」との認識を示し、日米地位協定の抜本的な改定などを求めた。
 これまで米軍基地を抱える15都道府県でつくる「渉外知事会」が日米地位協定の改定を求めてきた。全国知事会は基地のない府県が多数含まれている。その知事会で今回の提言がまとめられたことは、2年間で米軍基地負担についての共通認識が格段に深まったことを意味する。研究会の取り組みを高く評価したい。
 日米地位協定は1960年に締結されてから、一度も改定されたことがない。日本政府が改定交渉を提起したこともない。あまりにもいびつではないか。
 そのことで米軍関係者の事件・事故の中には刑事責任を問うことができず、住民が危険を訴える訓練も止めることができない。基地内で環境汚染が発覚しても、米軍に立ち入りを拒否される。日米地位協定が住民生活を脅かしている元凶となっている。
 米軍が駐留しているドイツやイタリアでは、受け入れ国が基地の管理権を確保したり、自国の法律を米軍に適用したりしている。日米地位協定はあまりにも不平等だ。日本政府は全国知事の総意を重く受け止め、抜本的な改定に本腰を入れる必要がある。