<社説>全国一の地価上昇率 投機バブルを懸念する

 県内の地価が全国一の伸びを続けている。7月1日現在の基準地価で、住宅地、商業地、工業地など全用途(林地を除く)の平均変動率は前年比7・9%上昇した。6年連続の上昇となり、上昇率は2年連続で全国1位だった。

 地価上昇は観光業を中心とした県内景気の拡大を示していると言える。実際にホテルをはじめとした建設意欲は旺盛だし、人口増を背景にした住宅需要も増えている。ただし、超低金利を背景とした投資マネーが上昇を支えているのも事実だ。投機バブルに陥らないよう、慎重に見守る必要がある。
 用途別では商業地がプラス12%と大幅な伸びを示した。入域観光客の増加でホテル建設が増え、商業施設の出店が加速する構図だ。伸び率が同25・2%と県内トップの那覇市は観光産業の立地意欲が高く供給が不足気味だという。
 景気拡大に引っ張られ、工業地も同13・9%と伸びた。特に那覇空港や那覇港に近く流通や倉庫などの需要がある豊見城市は伸び率が同30・1%と、3割も高くなった。
 こうした不動産投資の過熱は住宅地にも反映され、同6・3%となった。
 人口増が続く沖縄県で住宅需要はもともと旺盛だ。数年前から那覇市やその近郊では地価と建設価格の上昇に所得の上昇が追い付かず、住宅が一般家庭には手の届きにくいものになっている。いきおい建設地は中部、南部圏域に広がり、全県的な上昇につながっている。読谷村がプラス17・9%と急上昇したのは象徴的だ。
 沖縄県の持ち家率は48%で、全国最下位の東京都に次いで低い。特に30代から40代の持ち家率が全国平均に比べ約20%低い。地価上昇で子育て世帯が家を持てない状況に拍車が掛かる。
 全国的にも地価は上昇傾向だ。特に訪日客が増えた有名観光都市や再開発の成功地は上昇が顕著である。その一方でそれ以外の地方では下落も目立つ。二極化が進む状況となっているのは、投資マネーが回収可能かどうかの選別を進めているからだろう。
 沖縄の地価上昇は、回収可能と見なされている証左でもあるが、その影響で一般の人たちが家を持ちづらい状況になっているのは懸念材料だ。
 さらに懸念されるのは、不動産投資が需要を超えて過熱してはいないかということだ。日銀の金融緩和政策が生み出す潤沢な資金は金融市場だけでなく不動産市場に流れ込む。国土交通省は「実需に応じた取引の結果」と分析するが、今後の影響を注視する必要がある。
 県内商業地の上昇は好調な観光に支えられているが、日韓関係の悪化で韓国人観光客が減少していることなど、観光産業の脆弱(ぜいじゃく)性も考慮する必要がある。
 バブル崩壊の教訓を生かすためにも冷静に投資マネーの動向に目を配りたい。



関連するニュース






  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス







  • 他のサービス