嘉手納町が町内全5カ所の認可外保育園に対して航空機騒音の園児への影響について初の独自調査を実施した。全ての園が保育活動に「影響がある」と回答した。
認可外園は現在、国の防音工事費の補助対象に含まれていない。町は今回の調査を踏まえ、防衛省に補助を要請する方向だ。自治体が認可外園の実態を正確に把握する意義は大きい。実態調査が関係市町村に広がるきっかけとしたい。
認可外園が防音対策の補助対象外になっていることが県内で広く知られるようになったのは最近のことだ。琉球新報が5月20日付紙面で、補助対象地域にありながら、認可外を理由に補助を受けていない園が少なくとも89園あり、園児が約3500人に上るとの取材結果を記事で取り上げたことが一つのきっかけになっている。
その直後から、行政側が敏感に反応した。沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」は沖縄防衛局に対し、認可外園を助成対象に加えるよう要請した。中部市町村会も助成拡大の要求を決めた。県福祉保健部も国への要望を検討している。作業の加速を求めたい。
県内で高まる助成拡大の声に、防衛省も全国の防衛施設周辺にある認可外園の状況調査を開始した。小野寺五典防衛相も「2014年度の概算要求までに結論を得たい」と前向きな姿勢を示した。
児童福祉法には「国および地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」とある。今回の嘉手納町の調査で、園側は航空機騒音による影響について「子どもの睡眠障害」「発育への影響」「精神的不安定」を挙げた。
健やかに育成できる環境にない現状は児童福祉法の理念に反する。国は認可外を補助対象外にする根拠を児童福祉法で規定された保育所に該当しないことを挙げてきた。その理屈は理解し難い。
遅ればせながら、防衛省も認可外を補助対象にするための法改正は必要ないとの立場を取り始めている。防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の施行令の対象施設の中に「認可外」を加えるか、訓令で対応可能としている。
この瞬間も認可外の園児は爆音にさらされている。国は早急に作業を進め、来年度から認可外園も等しく補助対象にすべきだ。