ツイッター暴言 復興庁の信頼を失った


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 東日本大震災の復興行政の信頼は地に落ちた。復興庁の水野靖久参事官が短文投稿サイトのツイッターで暴言を繰り返し、事実上更迭された。この幹部の資質にとどまらず、組織として被災地復興に真剣に向き合ってきたのかという疑問を抱かざるを得ない。

 復興庁のホームページには同庁の役割について「一刻も早い復興を成し遂げられるよう、被災地に寄り添いながら、前例にとらわれず、果断に復興事業を実施するための組織として、内閣に設置された」と記している。
 つぶやかれた暴言は、役割で誓う「被災地に寄り添いながら」どころか、他者を見下す姿勢にあふれている。被災者を支援する市民団体の集会に参加後「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席」と書き込んだ。福島県の避難区域が残る町議会に参加した時には「田舎の町議会をじっくり見て、余りのアレ具合に吹き出しそうになりつつ我慢」とつぶやいた。被災地の議員をあざけっている。
 水野氏は「子ども・被災者支援法」に基づく東京電力福島第1原発事故の被災者支援を担当していた。同法は昨年6月に成立したが、運用する基本方針が決まらず、たなざらしになっている。このことについても「白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意。こんな解決策もある」と書いている。問題の先送りを歓迎しているかのようだ。
 復興庁が役割に掲げた「果断に復興事業を実施する」姿勢とはあまりにかけ離れている。こんな人物が復興行政の幹部として働いていたことに、憤りを通り越して、あきれてしまう。
 国家公務員法第99条は「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と定めている。同庁は処分を検討しているようだが、公務員にあるまじき行為として厳正に対処すべきだろう。
 福島県では原発事故で今も約15万人が県内外で避難生活を続ける。住宅再建や賠償、除染など問題は山積している。支援法成立から1年近くたった今も、対象者の判断基準となる基本方針が示されていないなど、原発事故の被災者支援が具体化してないことは大きな問題だ。政府は信頼を取り戻すためにも、被災地復興に全力で取り組むべきだ。