米軍2機墜落 基地運用の抜本見直しを


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 米国で今月4日、米海軍所属のFA18Eスーパーホーネット戦闘攻撃機と米海兵隊所属のAV8Bハリアー攻撃機が相次いで墜落した。スーパーホーネットは在日米海軍所属の空母ジョージ・ワシントンに所属し、嘉手納基地にも時折飛来している。ハリアーも山口県岩国基地やユマ基地などから、嘉手納基地に頻繁に飛来しており、米国内の事故といえども沖縄と無縁ではない。

 今回の2機を含め、米軍機の墜落事故は今年に入って把握できているだけでも米国と英国で7回発生している。極めて異常な状態だ。墜落した機種はこのほかHH60Gペイブホークヘリ、MH60ブラックホークヘリ、FA18ホーネット戦闘攻撃機だ。今月墜落したFA18Eとハリアーは今年1月と5月にもそれぞれ墜落している。HH60Gは嘉手納基地に配備されており、MH60はHH60の同型だ。FA18は普天間、嘉手納両飛行場にたびたび飛来している。全ての機種が沖縄上空を飛んでいる。沖縄で墜落事故が起きる可能性も決して否定できない。
 県内では1972年の復帰から2013年までの41年間で、米軍機の墜落事故は45件発生している。1年に1機以上が墜落している計算だ。昨年5月に嘉手納基地所属のF15戦闘機が墜落した時、米空軍は事故原因の究明を待たずに事故2日後に飛行を再開させている。
 しかも半年後に発表された事故調査結果によると、事故原因は操縦補助機器の機能不全と断定したものの、機能不全の理由は「未判明」とした。つまり墜落の原因は特定されていないのだ。それにもかかわらず、同型機は沖縄の空を日常的に飛び続けている。バッテリー発煙トラブルを起こしたボーイング787は事故原因究明で約4カ月も運航を停止した。米軍は飛行士の操縦練度の維持の方が県民の命よりも大切だと言っているようなものだ。理不尽極まりない。
 労働災害の経験則の一つ「ハインリッヒの法則」は一つの重大事故の背後に29の軽微な事故があり、その背景に300の異常が存在すると指摘する。今年に入って県内では米軍機の部品落下事故や緊急着陸が相次いでいる。大事故を警戒し、安全対策を徹底すべきだ。
 墜落頻発機種の沖縄からの撤収や市街地上空の飛行禁止を含め、米軍機の飛行の在り方など基地運用も抜本的に見直すべきだ。