<社説>県議会決議 首相は正式に謝罪すべきだ


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 決議に込められた県民の思いを、安倍晋三首相は正面から受け止めるべきである。

 自民党勉強会で国会議員らが報道に圧力をかけるような発言をした問題で、県議会が発言の撤回と県民への謝罪を求める抗議決議を賛成多数で可決した。決議の宛先は自民党総裁である安倍首相だ。
 自民党会派は宛先が党総裁だったことなどに難色を示し、反対した。全会一致とならなかったことは残念だが、自民会派も党本部で起きた今回の問題を苦々しく思っていることを首相は肝に銘ずるべきだ。
 自民会派が提出した「不穏当発言に反省を求める決議案」は否決されたが、一連の発言を「沖縄に対する無理解と認識不足を露呈し、基地の重圧に苦しむ県民の感情を逆なでした」と批判した上で「言論の自由や報道の自由が制約されてはならない」と訴えている。
 一方、可決された決議は沖縄2紙が「左翼勢力に乗っ取られている」と主張した国会議員発言を「県民をも侮辱するもので到底、看過できない」と批判。作家の百田尚樹氏が、普天間飛行場の周辺住民は商売目的で住み始めたと発言したことに「土地を接収された地主の苦悩を顧みず、歴史的事実を意図的にゆがめて県民を愚弄(ぐろう)するもの」と強い憤りを示した。
 この問題で首相はこれまで「事実とすれば大変遺憾」「報道の自由の尊重は今後も不変だ」などと表明した。だが謝罪はしていない。この態度は理解できない。連立を組む公明党の山口那津男代表には「迷惑を掛け、大変申し訳ない」と陳謝したが、県民、国民に対してまず謝るのが筋だ。
 首相は国会で野党からの謝罪要求に対し「わびるかどうかは発言者のみが責任を負う」と開き直った。党の最高責任者として人ごとのような対応だ。仮に社員の不祥事で自身に責任はないとして謝罪を拒み続ける社長がいたとき、社会はどう見るか。首相の対応は世間感覚からも懸け離れている。
 問題となった勉強会には、首相の側近や応援団を自任する議員が参加していたが、首相は当初「党の私的な勉強会だ。発言をもって処罰することがいいのか」と関係者の処分にも否定的だった。報道圧力をめぐる首相のそうした姿勢が、問題の背景にあったと指摘せざるを得ない。
 決議と真摯(しんし)に向き合えば、首相には謝罪する道しかないはずだ。