<社説>安保法案 採決の強行は許されない

 安全保障関連法案に対する国民の理解は一向に深まっていない。採決の強行は断じて許されない。

 安保関連法案をめぐり、与党が15日に衆院特別委員会で採決する構えを見せている。野党は反発しているが、与党は早期の衆院通過を図る姿勢を崩していない。
 与党側は特別委での審議が100時間を超え、議論が尽くされたとしているが、11本もの法案を一挙に成立させようとしているという問題をまず指摘したい。そもそも問われるべきは審議の時間よりもその内容だが、法案の核心である集団的自衛権をめぐる安倍晋三首相らの答弁は依然曖昧だ。議論が尽くされたとは到底言えない。
 法案は歴代内閣が憲法違反として認めてこなかった集団的自衛権行使に道を開き、自衛隊による他国軍への後方支援を地球規模に広げることが柱だ。
 専守防衛の国是を変質させ、海外での戦闘に巻き込まれる危惧が拭えない重大法案が審議不十分のまま採決されていいはずがない。
 法案に対する疑念が強いことは各社の世論調査から明らかだ。
 共同通信の6月20、21日調査では法案への反対が58・7%、賛成の27・8%を大きく上回った。朝日新聞(7月11、12日調査)は反対56%、賛成26%。毎日新聞は反対58%、賛成29%(4、5日)。読売新聞も法整備への反対50%が賛成36%(3~5日)を上回った。
 国民世論の反発は明らかだ。法案の説明は十分か否かとの質問では、各社とも不十分との回答が8割を超えた。一方、NHKや毎日の調査などでは安倍内閣の支持率を不支持率が上回った。第2次内閣発足後、初めてだ。首相はこうした現実を直視しなければならない。
 法案について石破茂地方創生担当相は「理解が進んできたと言い切る自信はあまりない。国民理解が進んでいるとは言えない」と述べた。その通りであり、国民置き去りの姿勢を政権は改めるべきだ。
 辺野古の新基地建設に反対しているアニメ映画監督の宮崎駿氏は安保法案について「軍事力で中国の膨張を止めることは不可能だ。違う方法を考えないといけない」と述べ、平和憲法の重要性を強く訴えた。
 その主張を重く受け止めたい。多くの憲法学者や元内閣法制局長官らも違憲と指摘する法案の採決を強行し、政治不信を増幅させるような愚を犯してはならない。









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