<社説>辺野古検証委報告 承認は取り消すしかない

 辺野古埋め立てに対する前知事の承認について検証した第三者委員会が「法律的な瑕疵(かし)が認められる」と報告した。新基地建設はついに重大な局面を迎えた。

 委員は弁護士や環境の専門家だ。
その有識者が1月の委員会発足以来、6カ月もかけて慎重かつ多角的に検証した結果である。翁長雄志知事が言葉通り、報告を「最大限尊重」すれば、やはり承認は取り消すしかない。
 在沖米軍が「環境保全策」をほごにした例は枚挙にいとまがない。普天間基地の飛行経路は逸脱が常態化している。オスプレイは日米合意に反して市街地をヘリモードで飛び、高度も守っていないことは自治体の調査で証明済みだ。嘉手納と普天間の両基地は日米合意で夜間・未明は飛行しないはずだが、未明に100デシベル以上の殺人的爆音が響くのもたびたびだ。
 公有水面埋立法は環境保全に「十分配慮」することを要件とする。新基地の環境保全措置は、日本政府が示すものの、実際に守るかどうかは米軍次第である。第三者委がこの点を踏まえ、「保全策が適正に講じられたとは言い難く、十分とも認め難い」と指摘したのは納得がいく。
 実はこの点は、基地をめぐる最も本質的な指摘である。米軍の姿勢は、ひとえに日米地位協定3条で排他的管理権を米側に認めたことに起因する。日本側が基地の使い方に一切口出しできないという規定だ。ドイツでもイタリアでも米軍は現地の国の法律に従う。日米地位協定は、他国ではあり得ない植民地的規定なのである。
 これがある以上、どんな対策もほごになりうる。「適正に講じる」ことは不可能なのだ。
 そもそも埋立法は「埋め立ての必要性」が前提だ。ジョセフ・ナイ元米国防次官補ら多数の米側専門家は、海兵隊が豪州や本国に撤退しても問題ないと述べている。第三者委が言うように「必要性」に「合理的な疑いがある」のは明らかだ。
 菅義偉官房長官は早速、「法治国家であり、工事を進める」と述べた。笑止千万だ。知事が承認を取り消せば移設作業は法的根拠を失う。「法治国家」なら、直ちに作業を中止するしかないはずだ。
 知事が取り消せば、防衛省は知事の処分取り消しを国交省に申し立てると聞く。政府が政府に申し立てる茶番は、この国が「人治国家」であることを示している。









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